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〈同胞法律・生活センターPART4 E〉 高齢者福祉 B−増える負担

Q 「後期高齢者医療制度」の問題点は?

A 高齢者の財布をターゲットに

 Q 日本政府は年々増大する社会保障費を削減するために、高齢者にも負担を強いています。そのなかでも、来年の4月1日より実施されることになっている「後期高齢者医療制度」とはどのような内容ですか? いったいどこが問題なのですか?

 A すでに超高齢社会に突入している日本では、現在5人に1人が65歳以上という状況で総人口のうち高齢者の占める割合が20%となっています。さらに20年後にはその割合が25%、すなわち4人に1人が高齢者という人類が経験したことのない超高齢社会になると予測されています。

 そのため、高齢者に係る医療費や介護費は右肩上がりに上昇しており国の財政を圧迫しています。そこで高齢者にも負担してもらおうということで、日本政府が新たな制度を創設したのが「後期高齢者医療制度」(以下、新制度)なのです。要は高齢者の財布がターゲットなのです。

 この新制度の保険料は年金から天引き、一生払い続けるという点で、現行の介護保険制度と同様の仕組みになっています。現在、国会ではこの制度に異議を唱える反対意見が出されていて、延期される可能性もあり今後の議論の行方が気になるところです。

 新制度は、75歳(一定の障害があると認定された人は65歳)以上の後期高齢者を対象とする独立した医療制度で、全国の都道府県ごとに全市町村が加入して設置する「後期高齢者医療広域連合」のもと、保険料の徴収と各種届出、申請受付等の窓口業務は市町村が行います。

 新制度の施行と同時に、すでに75歳以上の後期高齢者は自動的に資格を取得することになり、また75歳の誕生日当日から自動的に資格を取得します。また、65歳以上75歳未満の人で一定の障害がある人は、届出により認められた場合に資格を取得することになることがあります。

 従来の高齢者のための老人保健制度との違いは、これまで医療機関等で治療を受ける際は、加入している健康保険の被保険者証と老人保健医療受給者証の両方の提示が必要でしたが、新制度では後期高齢者医療専用「被保険者証」一枚を提示するだけでよいことになります。被保険者証は同じ世帯であっても一人一枚の交付となります。生活保護受給者は、今回の新制度からは除外となるため保険料の負担も無く被保険者にはなりません。

 医療機関の窓口で支払う自己負担分は従来と変わりありませんが、問題は新たな保険料の負担で、これまで被用者保険の被扶養者として保険料負担の無かった人(社会保険の扶養家族等)についても一定の保険料が発生します。保険料の徴収は、一定金額以上の年金受給者が年金から天引きされる特別徴収と、直接金融機関等に振り込んで支払う普通徴収があります。

 低所得者については保険料軽減措置があります。給付困難な特別な事情がなく保険料を滞納した場合は、有効期間の短い「短期被保険者証」が発行されたり、一定期間滞納が続いたときは被保険者証を返還し、代わりに「被保険者資格証明証」が交付される場合があります。資格証明により医療機関等で受診すると、一旦全額自己負担になるので注意が必要です。(洪東基、共和病院医療福祉課)

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 連続講座「使いこなせ! How To 社会福祉・サービス」第3回、「子ども家庭福祉 How To ひとり親家庭支援、母子サービス、子育て、家庭内暴力etc…」=11月10日(土)14時〜、同胞法律・生活センター会議室。

 ※NPO法人同胞法律・生活センターでは、暮らしをテーマにした各種の講座、学習会を企画し、そこに適切な講師を派遣します。地域の同胞を対象にした講座等の開催を検討されている総連本部、支部の担当者のみなさん、お気軽に事務局までお問い合わせください。TEL 03・5818・5424、FAX 03・5818・5429

 【訂正】10月17日付の本コーナーの高齢者福祉@の中で、養護老人ホームの入所要件につき「身体上または精神上の理由あるいは住宅に困窮しているなどの理由により自宅での生活が困難な高齢者」は、昨年の老人福祉法の改正により「環境上の理由及び経済的理由により居宅において養護を受けることが困難な高齢者」となっています。訂正します。

[朝鮮新報 2007.11.5]