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同胞による同胞の介護 ホームヘルパー2級への道 −1−

在日同胞高齢者 「自分らしく暮らす」ためのパートナー

 5人に1人が65歳以上という世界第1位の超高齢社会−日本。当然のように同胞社会の高齢化も進んでいる。調べによると、同胞社会における高齢者の占める割合は15.8%に達している(2006年度末)。同胞社会においても、制度とともにサービス提供者の質と量の向上は「緊急な課題」である。

 急速な高齢化社会の到来、ニーズの多様化によって福祉サービスに質と量の向上が求められて久しい。改正介護保険法は高齢者の「自立支援」と「尊厳の保持」を基本理念とし、予防重視型システムへの転換、認知症ケアや地域ケアの推進を謳っている。

 居宅サービスの利用者、希望者は日ごとに増えており、高齢者、障がい者(児)が「自分らしく暮らす」ためのサービスの担い手として、ホームヘルパーおよび障がい者(児)居宅介護従業者への期待はいっそう高まっている。

 ちなみにホームヘルパーとは、高齢のために、またはなんらかの身体的あるいは精神的障がいがあって自立して生活ができなくなった人に対し、生活に不自由がないように支援できる能力を身につけた、一定の訓練を受けた人のことを言う。

 しかし、たんなる「技術屋」「便利屋」ではない。血の通った支援を行う者として、重要な「基本視点」が存在する。

 近年、社会的に不利な立場にいたり、介護を受ける状態であったとしても、誰もが一緒に生活するのが自然だというノーマライゼーションの考え方が、福祉理念として定着しつつある。

 介護の理念は、介護が必要になっても質の高い生活を求めて暮らしていけるようにしようということであり、そして高齢者が自分の意思のままに「自分らしく暮らす」ことをサポートする。

 では、日本社会において同胞高齢者が「自分らしく暮らす」ためにはどうすればよいのだろうか。今なお、同胞高齢者の多くが言葉と食、文化、経済状況の違いから、日本社会のサービスにはなじめず、または利用できず、ひっそりと暮らしている現実のなかで、彼らが、「自分らしく暮らす」ためには、それが可能なサービスの紹介と利用状況の改善に加えて、「同胞による同胞への介護」がひとつの答えとしてあげられる。

 NPO法人ナビ(東京都荒川区)では、こうした切実なニーズに応えるべく、昨年に続き同胞ホームヘルパー(2級)を育成する「連続講座」を開講(8月13日)した。

 第2期生として実際に受講し、その体験過程を今号から週1回、レポートしていく。(鄭尚丘記者)

 (次回は、「障がい・疾病の理解」「介護事例検討」などを紹介する。大事なのは「ホッ」とさせること)

ワンポイントレッスン 第1期生からの応援メッセージ

 私は今、「ナビ」を卒業しヘルパーステーション「ケアサポートナビ荒川」でホームヘルパーをしています。

 利用者さんを自分のアボジ、オモニと思って、少しでもおいしいもの、好きなものを召し上がってもらって、少しでも楽しい気持ちになれるようにと、努力する毎日を過ごしています。

 多くの苦労をされた1世たちです。その苦労を少しでも和らげてあげたい。だからこそ、この仕事はハートがないとできません。事務的に行う仕事ではありません。

 ハルモニたちは、同胞ヘルパーには心を開いて何でも話してくれます。もっと同胞ヘルパーが増えたらいいと思います。

 ハルモニたちの「次は何時に来てくれるの?」「待っているよ」の言葉がいつも私の背中を押してくれます。

 2期生の皆さん!

 無事終了するまでには苦労も多いですが、助け合ってがんばってください。ともに1世に寄り添っていきましょう。(第1期修了生・鄭亨順=62歳)

[朝鮮新報 2007.11.9]