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同胞による同胞の介護 ホームヘルパー2級への道 −3−

健康な毎日を送るための場

「シーツ交換は基本中の基本」

 シーツは頭から敷いていき、左上→左下→右上→右下で終える。決してシワのできないようにし、シーツがベッドのマットにしっかりと定着するようにする。利用者を傷つける恐れのある指輪や時計をはずしておくのは当然だ。

 かつて、これほどシーツ一枚と真剣に向き合ったことはなかった。ホテルや旅館でピンと張ったシーツはよく目にする。しかし、これからは見る目が変わりそうだ。

 「シーツを敷くことは基本中の基本」と講師は言う。たったシーツ1枚の部分的な重なりが褥瘡(床ずれ)の要因ともなる。演習ではすべてがシーツを敷くことから始まる。6時間をかけて寝具の整え方を学んだ(写真)。

 なお、褥瘡は自力で寝返りができない、やせている(骨の突出が顕著)、浮腫(むくみ)がある、痛覚(知覚麻痺など)がない人にできやすい。原因として、持続的な圧迫、身体の不潔と湿潤、摩擦などが局所的な要因として考えられるほか、身体機能の低下、栄養状態の悪化が全身的な要因として挙げられる。

 シーツの演習は順調に進んだ。「まるでマットのラッピングみたい」と当初は感想を語りあっていた受講生たちだったが、そのうちに誰もしゃべらなくなった。沈黙の中、繰り返しシーツを敷く集団。みな真剣な眼差しだった。

 利用者が寝ている状態を想定してのシーツ交換も行われた。利用者の気持ちをよく知るために、受講生が交代でモデルを務めた。シーツ交換の際に注意することは、目的を正確に伝達し、不快感のないように、転落など事故が起きないようにすることだ。記者の場合、利用者(ここでは受講生)に対する「声かけ」を意識するあまり、シーツを取り忘れるという失態をやらかした。これでは何がしたかったのかわからない。自身に対する「目的伝達」も意識したい。

 やはり几帳面な人のほうが向いているのだろうか?

 「完璧主義だともたないと思う。なにごとも適度に」と講師は笑った。

 (次回は、基本介護技術U。移乗の介護と歩行の介助。「ベッド」「車いす」「ポータブルトイレ」は3種の神器)

(鄭尚丘記者)

ワンポイントレッスン 講師からのメッセージ

 寝床は休息や睡眠を取り、疲労を回復し身体の安定を図って健康な毎日を送るための重要な場です。人によっては、ベッドの上が主な生活空間になっている人がいます。体調の変化や訴えがないか、日々確認を怠ってはいけません。また、複雑な心境で休んでいる人がいることを理解しましょう。シーツをきちんと敷くほか、2時間ごとの体位変換、身体の清潔と乾燥を保つことが褥瘡に対する予防法と言えます。(阿部百合子・介護福祉士、ケアマネージャー)

[朝鮮新報 2007.11.22]