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同胞による同胞の介護 ホームヘルパー2級への道 −4−

一番事故の起きやすい場面−「移乗」

「声かけ」はとても大事

 今回6時間の演習で習ったことは「移動介助」と「移動介護」。車イスへの移乗と、肢体不自由、視覚障がい者の歩行の介助などだ。

 「一番事故の起きやすい場面だ」と講師は念を押す。

 ベッドとともに車イスは、介護における「3種の神器」(あと一つはポータブルトイレ)として重宝されているが、その使い方を誤れば即ち「凶器」となりうる。転倒のほか、手や足が車輪に巻き込まれることにも注意を払いたい。

 ベッドから車イスへの移乗と言えば簡単に聞こえるが、その過程は複雑だ。長座位から半座位、短座位を経て車いすへの移乗を介助する。同時に行うことが多すぎて軽度の「パニック」に陥る受講生も現れるほど。以前に習った体位変換を複合して、流れるように一連の動作に結びつけることが求められる。ボディメカニズムに沿って動作しないと、利用者の身体に負担がかかるうえ、介助者は腰を痛めかねない。職業病とも言われる腰痛は、受講生の段階から注意が喚起される。

 受講しながら興味深く感じることは、以前に習ったことがすぐに「実践」されるということか。いまだ「付け焼刃」にすぎないその技術だが、そのつど活用が求められるだけに今後とも真剣に取り組まなければと、あらためて気を引き締める。

 実際に車イスに乗り近くの公園まで行ってみた。歩くだけではわからなかったが、想像以上に地面のデコボコが気になるものだ。そんなときは前輪を軽く持ち上げるように進むのがひとつの方法だ(写真)。

 演習では杖歩行、視覚障がい者の歩行におけるモデルを務め、「体験」もする。目隠しをされた状態で階段の昇り降りをした。右手から伝わる介助者(ここでは受講生)の腕の感触と声だけが頼りだ。想像を絶する「恐怖」である。どういう訳か眉間のあたりが痛くなった。

 この「体験」が教えてくれるのは、いかに利用者が心細い状態にあるのかということだ。再三にわたり強調される「声かけ」の重要性を計らずも体得するに至った。(鄭尚丘記者)

 (次回は、基本介護技術V。着衣脱着及び食事の介護。キーワードは「脱健」「着患」)

ワンポイントレッスン 講師からのメッセージ

 視覚障がい者の歩行介助におけるポイントと留意点は、@目的地まで安全、確実に誘導することA正確に周囲の環境、状況を把握し、それを伝えることB同じ速度で歩くことC中途失明者の心理状態を汲み取ること−です。必ず利用者の患側(患っているほう)に立つようにし、声かけを忘れずに行いましょう。これからは駅や道路にある点字ブロックにも注意を払って、よく観察してみてくだっさい。「危険」を感じたら「無理しない」「無理させない」を心がけましょう。(阿部百合子・介護福祉士、ケアマネージャー)

[朝鮮新報 2007.11.30]