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7回目の「現場を歩く会」 秋田県朝鮮人強制連行真相調査団 51人の死亡者名簿公表

能代港など空爆の犠牲者も

朝鮮人墓地で手を合わせる「歩く会」参加者たち(提供=野添事務局長)

 秋田県朝鮮人強制連行真相調査団(野添憲治事務局長)は11月18日、八峰町八森で「第7回朝鮮人強制連行者のいた現場を歩く会」を開き、戦時中に県内の鉱山などで強制的に働かされ死亡した51人の朝鮮人名簿を公表した。

 朝鮮人強制連行真相調査団中央本部が収集、所蔵している犠牲者名簿に基づいて、財団法人・神戸学生青年センター(神戸市)が先月公表したもの。同調査団が実態不明と言われた死亡者名を明らかにしたのは初めて。

 野添事務局長は、「今回明らかになった本県の朝鮮人強制連行の死者数については一部不明な箇所もあるが、昭和15年(1940年)から20年の間に強制連行され、16年〜18年の間に死亡されたとされる。これまで、調査団と県で調べてきたが、確定できずにいた。51人という数字はごく一部だとは思うが、今後の調査、分析のうえで参考となる」と語った。

 名簿には、強制労働従事者の本名、日本名、本籍、住所、生年月日、連行年月日、企業・事業所名、死亡年月日、死因が記されている。調査団によると、秋田県に連行された朝鮮人強制労働従事者は73事業所で1万4295人に上るという。

 このなかには、朝生英二さん(当時22歳、本名不明)が能代沖で戦死となっている記録もあるが、野添事務局長は「能代港で爆撃があったことは聞いたことがない」という。そのほか船川沖での空爆で3人、鹿角市の小真木鉱山での落盤、病死などで亡くなった5人の合計9人については、「初めて耳にする新事実」(野添事務局長)だという。

「歩く会」で実態を知る

 この日、7回目の「歩く会」には能代市のほか秋田市、由利本荘市などから25人が参加した。

 強制連行された朝鮮人が原油を運ぶために建設した同町峰浜の道路工事跡、飯場跡、同八森の発盛精錬所などを見学したほか、そこで働いていた朝鮮人のものと見られる墓地見学などを行った。

 調査団によると、戦時中、発盛精錬所で201人の朝鮮人が働いていたことが明らかになっている。調査団は昨年、八森地区の原野で朝鮮人の墓地を発見。現在までに墓石とみられる70基ほどが確認されている。

 「歩く会」参加者たちは、調査団が建立した標柱の前で合掌し、異郷で無念の死に追い込まれた人たちに思いを馳せていた。

[朝鮮新報 2007.12.3]