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同胞による同胞の介護 ホームヘルパー2級への道 −5−

食事介助は相手の立場で

ADLを下げない自立支援を

 「身だしなみ・衣服着脱の介護」と「食事の介護(口腔ケア)」について受講した(各3時間)。

 清潔さを保ち、一日の生活をリズムをつけてすごすためには、衣服を着替える行為は重要な役割を果たす。ここでは「脱健」「着患」が基本となる。脱ぐときは健康な方から、着るときは患っている方からという意味だ。自立を支援する立場から、利用者ができることまでを「介助」することはよくないとされる。脱衣、ボタンかけなど本人ができることは利用者に任せる。俗に「ホテル型介護」というのがあるが、これは利用者のADL(日常生活動作能力)を下げることにほかならないという指摘がある(「問題点2」)。

 日々の状態、疾患の有無の確認もこの際に行う。褥瘡予防に注意を払うと同時に、利用者の訴えにも耳を傾けるようにする(写真)。瞬時に行うべきことは相変わらず多い。「務まるだろうか」と不安な気持ちにもなる。

 ここで不安をさらに吐露すると、実は「調理」ができない。利用者のために、あるいは利用者とともに食事を作ることはよくあることだ。しかし、「チャーハンしか作れない」。講師に訴えたところ、困った顔をされてしまったが、「不得手な人も多い。おいしいものをという気持ちがあればすぐに上達する」との答えが返ってきた。そういえば1期生も、応援メッセージで同じようなことを言っていた。気を取り直して「食事介助」に臨んだ。

 ベッド上での食事を介助する。スプーンを使って、食べやすいサイズにしたものを、それが何かを伝えながら口の中へ。異性間であるのも手伝ってか、存外に難しい。

 主婦層の手馴れた手つきは参考になる。スプーンは、あまり食べ物を乗せすぎずに、タテに用いるのが正しい使い方と心得た。実際にモデルを務めてわかるのは、いかに利用者の立場で行動することが大事かということだった。「してもらう」のでも「してあげる」のでもない、あくまでパートナーという視点を忘れてはならない。(鄭尚丘記者)

 (次回は、「身体の清潔」。全身清拭、手浴、足浴、洗髪、入浴など。「介護の未来のために脱いでください」)

ワンポイントレッスン 講師からのメッセージ

 食事介助におけるポイントは、@健康保持A老化、病気の予防および治療B季節感を味覚で味わうこと−にあります。

 できるかぎり寝食分離を心がけるようにしましょう。

 食事をおいしいと感じるときは、五感で味わうときです。冷たいものは冷たいうちに、温かいものは温かいうちに食べてもらうことが大事です。

 口に運ぶ順番としては、口を潤すために、汁物からが適切と言えるでしょう。(阿部百子、介護福祉士、ケアマネージャー)

[朝鮮新報 2007.12.7]