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同胞法律・生活センター10周年の集い 同胞社会独自の社会資源を

専門家による相談、7000件以上

 NPO法人同胞法律・生活センター10周年の集いが8日、東京・浅草ビューホテルで行われ、同センターの専門相談員と関係者、同胞、日本人士ら約130人が参加した。集いでは同センターの洪正秀所長(弁護士)が記念報告を行い、「同胞の生活支援を考える−より暮らしに密着した活動をめざして」とのテーマでパネルディスカッションが行われた。

地域密着型で幅広く

パネルディスカッションの様子

 同センターは、在日同胞の生活支援と権利擁護を目的として1997年12月1日に開設。在日本朝鮮人人権協会に所属する弁護士、司法書士、税理士、行政書士、社会保険労務士を中心とした同胞、日本人の専門家と連携し、同胞の生活上のトラブルや法律問題の解決に大きな役割を果たしてきた。とくに相続、戸籍、国籍、在留資格、離婚などの法律問題を同胞の生活事情や文化を知る専門家が相談を受け解決するとともに、年金、保険、福祉、生活保護などの社会保障制度を同胞が十分に利用できるよう支援してきたことは大きな意義を持つ。10年間に同センターが受け付けた案件は7000件を超えた。

 また、総連本部や支部、傘下団体を対象に各種学習会や講演会の開催、講師派遣を行い、日本の行政にも働きかけるなど、人権、社会保障問題など、差別解消に大きな役割を果たした。

 洪所長は、在日同胞の法的地位はかなり改善されたが、まだ日本社会には制度上の差別、裁判所や民間人による差別が存在し、在日同胞についてよく知らない専門家が誤った相談対応をすることによって同胞が不利益を受けているケースもあると指摘。「在日同胞に固有な文化を理解する専門家が相談に応じることの意味は大きい」としながら、「今後、同胞一人ひとりの生活全般を通じてサポートできるよう、有資格者や知識人とのネットワークを広げ、同胞社会独自の社会資源を創造し、問題を解決しようとする人すべてが参画できるネットワークを構築していこう」と述べた。

 パネルディスカッションでは太成学院大学の文鐘聲講師、同センターの韓鐘哲副所長(社会保険労務士、行政書士、ファイナンシャルプランナー)、東京都港区役所で年金相談などを行う富田麻美氏、同センター住まいサポート部の「安チーフ(神奈川外国人すまいサポートセンター副理事長)が活動経験について具体事例を持って語り、社会保障制度の利用上の問題点や啓蒙活動の必要性、センターと地域との連携の重要性などについて述べた。

 パネラーらは、一致して「あきらめないこと」を強調。同胞らが社会保障制度やサービスの利用を手続きの困難さなどから断念したり、制度自体を知らなかったりすることで不利益を受けないようにしなければならないとし、地域に密着した活動が重要だと指摘した。

 2部の懇親会では、参加者たちが会食をしながら互いに交流を深めた。(泰)

[朝鮮新報 2007.12.14]