和解成立を受けて 学校法人東京朝鮮学園理事長 金順彦 |
1、東京都と和解が成立することにより、「とりあげないで私の学校」という不安の日々を強いられてきた幼い児童、生徒の笑顔を取り戻すことができ、児童、生徒に安心して学べる環境を確保できたことが、何よりもうれしい。 2、東京都が明け渡しを請求した土地は、1945年12月に枝川地区に居住する在日朝鮮人によって、「国語(朝鮮語)講習所」が開設されて以来、今日まで一貫して民族教育の場であった。本裁判の意図するものは、歴史的事実を無視するのみか、すでに国際社会において確立された民族教育を受ける権利を否定する不当なものだった。 3、本裁判においては、民族教育を受ける権利を文字通り権利としていかに保障すべきかについて問うてきた。本和解は、司法の場において、在日朝鮮人の歴史を尊重し、在日朝鮮人児童、生徒に対して民族教育を行ってきた朝鮮学校の存在意義を認めるものであり、新しい一歩を踏み出した大変意義深いものと言える。 4、本裁判の弁護団の先生方、本裁判にご協力くださった学者の先生方、本裁判を支援してくださった在日同胞のみなさま、枝川裁判支援連絡会をはじめとする日本の友人のみなさま、それから海外の同胞のみなさまに心より感謝の意を表したい。 5、当学園は、これから益々民族教育の充実を図り、日本に生きる3世、4世、5世の児童、生徒が民族の誇りをもって、可能性を広げ、夢を実現できるようがんばっていきたい。 また、外国人学校との連携、相互理解を深め、国籍、民族にかかわらず全ての子どもたちに、等しく教育を受ける権利が保障されるよう尽力していきたい。 6、最後に、みなさま方が民族教育を受ける権利の制度的な保障を実現するため、また、朝・日の掛け橋の役割を担っている児童、生徒の未来のため、今後とも協力してくれるようお願いしたい。 [朝鮮新報 2007.3.12] |