top_rogo.gif (16396 bytes)

〈教室で〉 南武朝鮮初級学校 尹春花先生

1年生は基礎発音を正確に

 「シップ(10)」
 「シップ!」
 「ヨル(10)」
 「ヨル!」
 「アイ(子ども)」
 「アイ!」
 …
 南武朝鮮初級学校(神奈川県川崎市)の1年生の教室、担任の尹春花先生(30)について朝鮮語を習う、児童たちの声が朗々と響く。

生活の中にあることば

児童の手本になるよう心がけている尹先生

 机の上に開かれた教科書には、ベビーカーに座ってすやすやと眠る子どもの絵が描かれている。

 「座っているのは誰ですか?」

 先生の質問に1年生たちは、「アイ イムニダ(子どもです)!」と元気に答える。

 その声に尹先生がほほえみながら、「子どもは何をしていますか?」と問いかけると、「ねむっています!」と、児童たちははたまた威勢の良い返事。

 今年の新入生8人(男3、女5)のうち、同校付属幼稚班を卒園した生徒が6人というこのクラスでは、多くの会話がすでに朝鮮語で行われていた。日本の保育園や幼稚園を経て入学した児童らも、ウリ幼稚班出身児童に引けを取るまいと一生懸命朝鮮語で話す。まるで「留学」でもして来たかのように。

 「子どもは眠ること以外にどんなことをしますか?」との尹先生の質問に、児童たちは「泣きます」と答え、「それではどんな時に子どもは泣きますか?」と聞くと、「おなかがすいているときに泣きます」と、朝鮮語で適切に答えていた。

 ほかにも、子どもは「笑います」、(どのような時に笑いますか?)「うれしいときに 笑います」「遊びます」、(誰と遊びますか?)「子どもと遊びます」、(子どもをお姉さん、お兄さんたちはどうしてあげますか?)「子どものめんどうをみます」…と、尹先生は児童たちの生活の中にある「子ども」と関係のある言葉を次から次へと自然に引き出す。

「아、야、어、여」

大きな口を開けて発音練習

 この日「아야(ア、ヤ)行」を学んだ1年生たちは、尹先生に次いで「아、야、어、여」と元気良く発音の練習をした。

 尹先生は大きく口を開けて、「아야行」を前から順に読んでみたり、反対に「이、으、유、우」と読んでみたり、一字ずつ飛ばしながら「아、어、오、우…」「야、여、요、유…」と児童たちに読ませたりする。

 尹先生について「아야行」を学習していた児童たちは、「야、여、요、유…」と発音する時に、ある「発見」をしたようだ。

 「先生、にているのがありました。先にやった『아、어、오』にはなかったのに、あとにやった『야、여、요』には、最初に『イ』がつくんです。『イアー、イオー、イウー』という風に」。「先生、『유』の文字はさかさにすると『요』とにています」。

 1年生たちは鋭い観察力で、朝鮮語には「겹모음(キョプモウム/2重母音)」と「흩모음(ホンモウム/単母音)」という2種類の母音があることを発見したのだった。

繰り返し発音練習

ノートの点検もこまめにする

 今年で1年生の受け持ちが3回目になるという尹先生。

 「1年生は、初めて朝鮮語に触れるだけあって、とくに基礎発音を正確に習うことに重点を置いて指導している。例えば、日本語の発音には『ん』という音が1つしかないのに対して、朝鮮語には『ㄴ』『ㅁ』『ㅇ』と異なる3つの音がある。1年生のときには正確な発音を繰り返し反復練習させることによって、朝鮮語の正確な発音を身につけることが大切だ」

 尹先生は、朝鮮語に初めて接し、朝鮮の文字を初めて書く児童たちのために、自身が模範にならねばと、鏡を見ながら口の形を確認し、自分の癖を意識的に直した。また、多くの視聴覚教材と教育研究論文、経験のある教員たちの授業を見ながら、授業研究を深めていった。

 尹先生が教べんを執る南武初級は、児童らの学力が高く、朝鮮語をよく使う学校として定評がある。同校は、毎年朝鮮学校の児童、生徒を対象に行われるスピーチコンテストやコッソンイ作文コンクールなどで常に好成績を収めてきた。

 「わが校には優秀で経験豊富なベテラン教員が、低学年と高学年にそれぞれいる。教員たちは月1回の校内研究授業を通して、低・高学年集団別に研究を深め、神奈川県下の朝鮮学校教員を対象に開かれる授業研究にも積極的に参加している。とくに国語は基本科目なので、教材の、ある部分や、朗読、作文などに関する研究も、集団的に、徹底的に行っている」

 ベテラン教員のアドバイスを受けながら、今年で教員生活12年目を迎えた尹先生。今年は同校にも新任教員が配属され、「これからは私が今まで学んできたことを伝えていく番になった」と意気込む。今年はまた、尹先生が新米教師だった時に受け持った児童が、朝鮮大学校に入学した意義深い年でもある。ある学生が教員希望ということもあって、尹先生をいっそう喜ばせている。

 「今受け持っている1年生たちも、『先生はどうして先生になったの?』とよく聞いてくる。そういう時私は、『あなたたちに会いたくて』『君たちに朝鮮の言葉を教えてあげたくて先生になったのよ』と答える。これからあの子たちがどんな夢を持つようになるのか…。あの子たちが夢と希望を大きくもって、未来へ羽ばたけるよう見守っていきたい」(金潤順記者)

※1976年生まれ。西東京朝鮮第2初中級学校(幼稚班〜中級部)、神奈川朝鮮中高級学校、朝鮮大学校師範教育学部2年制師範科(当時)卒業。南武朝鮮初級学校で12年教壇に立つ。同校低学年集団長、現在初級部1年生担任および舞踊部指導教員。

[朝鮮新報 2007.7.20]