top_rogo.gif (16396 bytes)

第6回6者会談の現場から 参加資格疑われる日本

「2.13共同文書」否定、「拉致」主張

 3月19日から22日まで北京で行われた第6回6者会談は、「バンコ・デルタ・アジア」(BDA)問題に足を取られ、「2.13共同文書」の具体的な履行計画討議は行われなかった。しかし、明白に確認された事実がある。「2.13共同文書」に背く言動を繰り返すたびに、日本は6者会談に参加する名分を失いかけているということだ。

 会談で進展がなかったことを口実に日本のマスコミは、「今会談のように拉致問題が議論されたことはなかった」(NHK、3月23日)と、的外れな報道を流している。会談に参加した日本代表団の「説明」をそのまま繰り返したのである。

 日本は自国の苦しい立場を隠すため事実をわい曲しながら、自国民をなだめる世論をつくり上げていた。

討議、発言権の喪失

 日本は、6者会談で拉致問題を取り上げようとする現在の誤った態度を正さない場合、会談でいかなる発言権も行使できなくなるだろう。今後、拉致問題が解決していないと騒いでも、各国から朝・日作業部会で解決せよとの答えを得るのが精一杯となる。だからといって6者会談の基本議題に関する論議に、口出しできる体面は日本にはない。

 今後「2.13共同文書」に示された初期措置が本格的な履行段階に入れば、各国は朝鮮半島非核化に向けた行動を取ることになる。朝鮮は核施設の廃棄を前提とする一連のプロセスを開始し、米国は朝鮮に対する敵視政策の転換プロセスに着手する。そして朝鮮を除く各国は経済、エネルギー支援を実施する。

 ところが日本は、核問題が進展しても拉致の進展がないかぎり支援に参加しないという。「2.13共同文書」に「拉致問題進展に対する代価」という文言はないにもかかわらず、日本は支援の性格を勝手に解釈している。

 6者会談参加国が朝鮮の核施設廃棄過程で提供することになる支援は、いわば朝鮮半島と東北アジアの平和と安全のために多国間協力で用意する「安保基金」と同様。理由がどうであれ、日本がこれに関する自国の義務を果たさずに6者会談で「核」や「安保」を主張する権利だけくれと言うのは、道理に合わない。

 朝鮮側団長の金桂官外務次官は会談で、日本が6者会談に参加する資格がないことについて指摘した。日本が「2.13共同文書」を無視し、ほかの目的を追求しようとするのであれば当分の間、北京の会談に出る必要はないとも発言した。

 朝鮮の「日本批判」に対して是非を正したり反対したりする国はなかった。これが現在の東北アジア国際政治の現実である。

 6者会談の目的は、「朝鮮半島非核化を平和的に実現すること」(9.19共同声明)である。北京で行われているのは拉致問題のための国際会議ではない。

「国際的支持」の真相

 自国政府代表団の伝言を拡大再生産する日本のマスコミにより、日本国内では拉致問題が6者会談の議題の一つになっているとの誤ったイメージが広がった。

 しかし「2.13共同文書」に従えば、6者会談の全体会合では、拉致問題は議題とはなりえない。朝・日間の懸案は当該作業部会で扱うようになる。この事実は日本ではよく知らされていない。

 外交消息筋は、「2.13共同文書」で朝・日作業部会を設置することにした目的について、「日本がこれ以上、6者会談の場で拉致問題を取り上げないよう別途の枠を設けた」と説明する。

 ところが日本代表団は今回の会談でも拉致問題を取り上げた。そして、「米国をはじめ各国が支持と理解を示している」と発言した。果てには、「中国からも『懸案問題を解決すべきである』との発言を引き出した」と発言。マスコミもこの発言を国内へ向けてそのまま繰り返した。

 しかし事実は違う。

 たとえば中国外務省の劉建超報道局長は、会期中に開いた会見で、朝・日関係に進展がないことについて憂慮しながら、「われわれは障害が少なければ少ないほど良く、より多くの障害が出ないことを希望する」と述べた。自国の事が忙しいのに他国の事に関わって支援に回る余裕はないということだ。ほかの参加国の意中もほぼ同様であろう。

 拉致問題を、朝・日関係改善の障害物として認めることと日本の肩を持つということは、第三国の立場から見れば厳然たる差がある。大部分の国は前者を選択するだろう。

 ロシア側首席代表のロシュコフ外務次官も拉致問題と関連し、「日本側も知恵を出して対応すべきだ」と語った。

 朝米関係消息筋は、「死亡者を生き返らせろとの強引な主張を米国がともに主張する可能性はほとんどない」との見解を示した。

マスコミと一体

 今回日本代表団は、6者会談で存在感を示せなかったことを隠すための世論操作を行った。日本代表の拉致関連発言をマスコミが大々的に紹介した結果、日本の世論は、6者会談で拉致問題が討議されているかのように錯覚させられた。

 会談のニュースを伝える日本のマスコミは、ついに会談の名称を「北朝鮮の拉致問題をめぐる6カ国協議」(朝日新聞3月20日付夕刊)と表記するに至った。

 政府とマスコミが組んで繰り広げる欺まん劇は、極限に達している。

 日本国民が6者会談報道を通じて見ている「国際社会」は、意図的にわい曲されている。「拉致問題の解決」を主張する声が大きければ大きいほど、それに比例して会談現場での日本の立場はいっそうなくなっていく。「2.13共同文書」を忠実に履行するとも言えず、会談の参加資格すら疑われている。(金志永記者)

[朝鮮新報 2007.3.30]