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〈月間平壌レポート〉 名節控え活気づく平壌

サッカー 女子は問題なし、男子は?

 【平壌発=李泰鎬記者】2.16名節と旧正月による5日間の大型連休がお祭りムードでにぎわったのも束の間、「4.15」(太陽節=金日成主席の誕生日)、「4.25」(朝鮮人民軍創建日)と続くビッグイベントを控えて平壌市内はさらに活気付き始めている。例年よりも暖かい気温が続くなか、6者会談の進展や朝米会談、北南閣僚級会談での和やかな雰囲気が人々に雪解けを予感させ、さらに期待をふくらませている。

4月行事の練習、各所で

北京オリンピック男子サッカーアジア予選、朝鮮×イラク(3月14日、平壌)

 「4.15」を目標に増産体制を取ってきた各工場や企業所は、最後の追い込み、仕上げに取り掛かる労働者の熱気であふれている。劉元シューズ工場や平壌日用品工場、船橋編織工場では「4.15」を記念した平壌市民への供給分の生産をすでに達成したという。

 そんな中、平壌市内で何よりも目立つのは4月のビッグイベントの練習風景だ。大マスゲーム・芸術公演「アリラン」が行われ、市民パレードやたいまつ行進も予定されている。凱旋広場、4.25文化会館や平壌体育館の周辺など、市内各所ではほぼ毎日のように練習が行われている。

 金日成広場は、たいまつ行進に参加する学生らであふれていた。列の後ろの方には男女中学生の姿もあった。練習中に、友だちとひそひそ雑談しては教員に叱られ頭をかいている少年の姿が微笑ましい。休み時間になると、熱心に本を読みだす少年、練習中に乱れた友だちの髪をとく少女の姿もあった。

 こんな光景を車の中でタバコをふかしながら眺めていたある運転手は、少年時代の思い出に浸っていた。彼は1960年代、朝鮮で初めて行われたマスゲーム・芸術公演「千里馬朝鮮」に出演したという。朝鮮の「お家芸」ともなった初代マスゲームの背景板の一枚を担当した。

 「あの頃とは内容もやり方も変わったけど、子どもたちの純真な目は変わっていない。あの目を見ていると力がわいてくる」

忍耐強くあきらめない

 金日成競技場前の広場では、大学生や青年らが「アリラン」の練習に励んでいた。やはり休み時間はにぎわっていた。さらに見渡すと大学生の男女10人ほどと見物人らが笑い転げていた。2チームに分かれて鬼ごっこと尻相撲を合わせたようなゲームで遊んでいた。負けたチームの男子学生は女子学生からお尻を蹴り上げられるようだ。女子学生の不慣れでぎこちない様子と、男子学生の過剰に痛がる様子が周囲の笑いを誘った。

 そんな中、ある女子学生が現れると男子学生は「反則だ」と言いながら逃げ回った。聞いてみると彼女はサッカー経験者だそうだ。それで男子学生らは慌てたというのだ。周りからは男性の声で「女子サッカーは世界一だから早く逃げろ」と。それに対して女性の声で「逃げないで。だから男子は勝てないのよ」と。そんな野次がさらに場を盛り上げた。

 そしてまさに同日、各新聞に女子サッカーのU−16朝鮮代表チームがアジア1位に輝いたという内容が報じられた。しかも一週間前、男子サッカーの朝鮮代表チームは、ここ金日成競技場で行われた北京オリンピック予選の対イラク戦で、終了直前に同点ゴールを許し、勝ちを逃していた。

 その試合直前、会場では「女子は問題ないが、男子は…」との厳しい評価が聞かれた。試合が終わると「やっぱり…」という声が漏れた。その時の光景が浮かんだ。

 「だから男子は勝てない」―女性の野次を笑い飛ばしていたものの、ほとんどの男性の顔が引きつっていたのも事実だった。サッカー、柔道、マラソン、体操、ボクシング、朝鮮では女性アスリートの活躍が光っている。17日からは女子アイスホッケーの世界大会(2部)が平壌で開催され、「女子優勢」の競技がまた一つ追加されてしまった。

 女性アスリートの活躍の要因について、多くのスポーツ関係者は「イアクカダ」と答える。「粘り強い」「根気強い」といったニュアンスだ。

 元柔道選手でアジア大会優勝の実績を持つリ・キョンオクさん(28)もそう表現する。「朝鮮の女性は素直で監督の教えを忠実に守り、最後まであきらめない」と語る。

 「男性は監督の教えを無視し、短気ですぐにあきらめるから負けるのか」との嫌味な質問に対しては、「男性には男性の良さがあるのでは…」と苦笑いを浮かべた。

 スポーツ関連機関の関係者は、朝鮮代表チームのイラク戦について「イラクは強豪。引き分けただけでも成果。それに一度は逆転した」と男子チームの粘りを評価した。強がりではなく予選全般を見通した冷静な見方だ。とくに10代の頃からワールドカップ予選のチームに混じって戦っていた主力選手たちの成長に注目していた。

 次回、平壌での男子の試合は4月18日、対インド戦。「汚名返上」に期待がかかる。ちなみに女子は4月7日、対台湾戦。男女ともに勝利で4月の名節を祝い、男女そろってのオリンピック出場に向け弾みをつけたい。

[朝鮮新報 2007.3.30]