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理科大学創立40周年 世界に名を轟かす科学者育成

アジア100余大学参加 プログラムコンテストで金賞

 【平壌発=李泰鎬記者】朝鮮の科学者育成の拠点である理科大学が1月、創立40周年を迎えた。科学技術研究において多くの成果をあげ、有能な科学者、技術者を輩出してきた理科大学のレベルの高さには最近、国内だけでなく海外からも大きな関心が寄せられている。

国家科学院に隣接

キム・スンドゥ学長

 理科大学は1967年1月17日に創立。開校当時の校舎は平壌市大同江区域に位置し、教員9人、学生34人だった。当時の学位所有者は1人だけ。それから40年、大学は自らが担う使命にふさわしく、飛躍的な発展を遂げてきた。

 同大のキム・スンドゥ学長(49)は「金日成主席の科学地区建設構想が実現したことによって、大学が発展し、多くの成果をあげることができた」と語る。

 科学地区建設構想は、現在の平壌市恩情地区を科学者村として整備し、科学研究と教育を合理的に結合させて科学を発展させていこうというものだ。

 理科大学は71年12月、恩情地区への移転を機に、科学者育成に必要な条件が整った。国内トップ水準の科学研究が行われる国家科学院に隣接し、そこの権威ある科学者たちから講義、実験や実習の指導を受けられるようになった。また、全国各地から集まった実力の高い学生に生活と学習に必要な諸条件が保障されるようになった。

実力ある新入生選抜

 キム学長は、理科大学の科学者育成システムの特徴について「世界でわが大学にしかないシステム」だと指摘する。

 それは「連続教育システム」と呼ばれ、大学は5.5年制本科、3年制博士員学士班、3年制博士院博士班で構成される。とくに卒業論文と学士論文の連続性を高め、本科と学士課程を体系的に連結させることで「8.5年」の教育システムが確立した。こうして学生が学位取得を、現実性を持って志すことができるようにした。学士課程への進学率は約90%に達するようになった。

 キム学長はまた、新入生選抜もシステムの重要な一部分だと強調する。理科大学の入学試験はほかの大学より、約1カ月前に行われる。入試に先だち理科大学の教員は、全国各地の中学校を訪れ入学希望者と面接。生徒の担任、同級生、家族などから話を聞き、科学者としての適性を見極める。この過程が国家的に保障され、実力の高い学生が優先的に入学できるようになった。

 実力のある学生、研究成果を収めた学生は教育課程の飛び級が可能だ。80年代には「21歳博士」が出現し、最近では「20代博士」「大学生学士」も多数輩出している。

 卒業生たちは、国の研究機関、人民経済の各部門で活躍している。同大の教員、研究員は同大卒業生を中心に構成されており、大部分が学位学職所有者だ。なので、理科大学の後代育成を「科学者の拡大再生産」と表現する人もいる。

基礎科目に力、強み

 大学の教育科学展示館には、大学の科学成果が展示されている。

 工場の機械設備からコンピュータプログラムに至る多くの成果が展示され、広く現場に導入、利用されていることがわかる。現在行われている研究内容も紹介されている。特許認定された技術もあり、国際プログラムコンテストの賞状も多い。

 学長は「本学は世界を見据えて学生を育てている」と話す。チェコやドイツで研究し、世界各国を見て回った経験を持つ学長の発言には信憑性がある。この自信をさらに強くするものは、理科大学での基礎科学教育だ。

 理科大学本科課程での約27%が基礎科目で、専攻基礎科目と合わせれば約47%になる。とくに数学と物理に対する教育は徹底している。「もっとも論理的で厳密な方法、厳格な概念を要求して教えると、学生たちも原理的に深く掘り下げることが習慣になる」と言う。

 コンピュータ科学部門での研究成果が注目されている近年では、金策工業総合大学と比較されることが多いと言う。キム学長は「金策工大が短距離選手なら、理科大学は中長距離選手」だと表現する。たとえば金策工大出身者が、工場のコンピュータシステムでプログラムの欠陥を早く探しだし、当面の措置を講じる点において優れているとすれば、理科大学出身者は欠陥が発生しないよう、あるいは自己修正できるようにプログラムを再整備し、補強することができる、というのが学長の説明だ。

 最近、ヨーロッパの学術誌でも理科大学の名を見かけるようになり、アジアの100余大学が参加したプログラムコンテストで、理科大学の研究チームが金策工大の3つの研究チームをさしおき、10ある金賞のうちのひとつを受賞した実績が、学長の言葉を実証している。

 理科大学は現在、教育環境を整える事業を推進している。実験室が近代化され、5、6月には電子図書館と体育館の建設に着工する。

 キム学長は、「朝鮮人は古くから叡智に富み、勤勉だ。その中でも国と民族の尊厳と栄誉を轟かそうという志を抱く人々が選抜されて来ているので、目標を世界に定めるのは当然だ。教職員は今後も経済強国建設に貢献し、朝鮮の名を全世界に轟かす科学者、研究士を育成していく」と語った。

[朝鮮新報 2007.4.4]