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孫鶴圭元京畿道知事、訪北 「目的は朝鮮半島非核化と経済協力の模索」

 【平壌発=文・李相英記者、写真・文光善記者】朝鮮の民族和解協議会(民和協)の招きで、孫鶴圭常任顧問(元京畿道知事)を団長とする南朝鮮の「東アジア未来財団」代表団が9〜12日まで北側を訪問した。

孫鶴圭元京畿道知事と握手を交わす金永南委員長(10日)

 孫元知事は2007年南朝鮮大統領選挙の有力候補の一人で、3月にハンナラ党を離党した。京畿道知事であった04年に開城工業地区を訪問、05年には北南稲農業合作示範事業を行うなど、北側との多方面にわたる交流協力事業を推進してきた。

 孫元知事は訪北に先立ち9日、今回の訪問の趣旨について、「朝鮮半島の非核化と平和体系の構築に向けたプロセスをどうやって前進させるのかを具体化し、南北間の経済協力法案を講究すること」だと説明した。

 孫元知事一行は滞在期間、「朝鮮半島の平和と繁栄のための北南討論会」(11日)に参加し、民和協の関係者らと会い、北南問題で提起される諸般の問題を論議した。

 また10日には、最高人民会議常任委員会の金永南委員長が万寿台議事堂で孫元知事をはじめとする南側一行と談話を交わした。

 一行は滞在期間、万景台、凱旋門、金策工業総合大学電子図書館、農業科学院をはじめとする平壌市内と南浦港、嶺南船舶修理工場などを訪れた。

6.15共同宣言履行で平和実現 「平和と繁栄のための北南討論会」

 北南関係が良好に発展する中で孫鶴圭元京畿道知事一行が北側を訪問した。北の関係者との討論会などは、内外の注目を集めた。

戦争要因除去を主張

金永南委員長が孫鶴圭元京畿道知事(左)と談話を交わした(10日)

 6.15共同宣言発表7周年に先立ち、平壌で北南双方の政治家、経済人、学者らが参加し行われた「朝鮮半島の平和と繁栄のための北南討論会」(11日)では、朝鮮半島の平和と安全保障、北南経済協力などの問題を論議した。双方の代表らはこの問題に対する互いの見解と立場を明らかにした。

 「6.15共同宣言履行は朝鮮半島の平和と繁栄のための担保」とのタイトルで討論した朝鮮アジア太平洋平和委員会の李種革副委員長は、平和と繁栄に関する問題が民族にとってさらに死活的な問題として提起されていると強調した。

 李副委員長は朝鮮半島で戦争の危険をもたらす要因として、「米軍の南側駐屯と米国の侵略政策」という外部的要因、「分裂と対決による北南間の誤解と不信」という内部的要因を挙げた。

 そして、「朝鮮半島で戦争危険の要因の根拠を除去し、平和と統一、民族繁栄の道を明らかにした」と6.15共同宣言の意義について強調しながら、「わが民族同士」の旗印の下、民族重視、平和実現、民族団結の三大課題を実現することが現時期における6.15共同宣言履行のための実践的方案になるとの北側の変わらぬ立場を確認した。

 李副委員長は朝鮮半島の平和に対する北側の立場は一貫していると指摘し「米国がわれわれに対する敵視政策を捨てて『2.13共同文書』を誠実に履行すれば、朝鮮半島の平和と安全は担保されるだろう」と述べた。また南側に対して、共同宣言履行に反する法的、制度的装置の撤廃、相手方に対する誹謗中傷を中止することなどを提案した。

「平和構築で共同繁栄を」

北南討論会の参加者ら(10日、人民文化宮殿)

 一方、孫元知事も「朝鮮半島平和経営戦略」「南北経済協力10カ年計画」など、朝鮮半島の平和と繁栄実現のための自身の構想を明らかにした。

 孫鶴圭元知事は南北双方が、6.15共同宣言の精神に沿って政治、軍事的領域で不信と緊張を解消することを主張した。とくに朝鮮半島非核化問題を強調しながら、関連国が「行動対行動」の原則に従い、「2.13共同文書」と「9.19共同声明」を誠実に履行していくべきだと述べた。

 また、「朝鮮半島平和経営戦略」が「朝鮮半島の平和秩序構築に基づいて南北の共同繁栄を成し遂げ、ひいては東北アジアの平和と繁栄を築くこと」を目標にしていると指摘した。そして、北南関係発展のための多様な経路の対話と接触の必要性、「第2回南北最高位級会談の早期開催」についても言及した。さらに、「南北が主導的に朝鮮半島の平和構築のために努力してこそ、南北経済協力の発展も可能」だとし、「平和が安定するに従って経済協力を通じた共同繁栄の機会も増加することになる」と述べ、「朝鮮半島平和経営戦略」の一環として「南北経済協力10カ年計画」を推進していくことを提案した。

 その後、金亨稷師範大学のキム・ジュンスン教授とソウル大学校のカン・グァンハ教授が補充討論をした。

相次ぐ南各界人士の訪北

 朝鮮半島を取り巻く緊張の激化などで昨年7月以降、断絶していた北南関係は今年2月末、平壌で行われた第20回北南閣僚級会談を契機に正常化の道に入ることになった。当局間対話とともに経済協力事業、人道主義事業、民間レベルの交流行事などが相次いで行われている。一方、朝鮮半島核問題の解決に向けた6者会談の「2.13共同文書」履行に向けた動きも活性化している。

 5月に入り、南朝鮮の各界人士らの訪北も続いている。

 孫元知事一行の前には、南朝鮮の国会議員と経済人らで構成された開かれたウリ党の東北アジア平和委員会代表団が北側と北南経済協力事業について協議し、北と南が臨津江、漢江河口、礼成江河口を開放し共同利用することなどについて協議した。このような動きについて北側の北南対話関係者は、今年の秋の南朝鮮大統領選挙と関連し、南側では経済問題とともに北南和解と協力、平和問題が主要変数として浮上しており、最近、南側の政治家と各階層人士らの訪北要請が相次いでいると明らかにしている。

[朝鮮新報 2007.5.16]