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米MD樹立強行の口実は幼稚 朝鮮外務省代弁人

 朝鮮外務省スポークスマンは、最近、ミサイル防衛(MD)システムを樹立しようとする米国の企図が世界を騒がせる重大な段階に入っているとして15日、談話を発表した。

 東欧のポーランドとチェコにMD網の環を成す迎撃ミサイル基地と電波探知所を配備し、アジア太平洋地域では日本に続いてオーストラリアをMDシステムの構成に引き入れようとする米国の計画が世界の多くの国の強い懸念と反発を招いている。

 米国は、こうした世界的なMD網樹立がわが国とイランのミサイル攻撃を防ぐためであると主張しているが、それは幼稚な口実である。

 MDシステムはその根源だけを見ても、われわれとは縁もゆかりもないということがわかる。

 周知のように、現在、ブッシュ政権が推し進めているMD概念の根源は冷戦時代にレーガン政権が旧ソ連を狙って打ち出した「戦略防衛構想」(SDI)である。

 現段階で明らかになっている規模だけを見ても、この巨大な防衛網が決して一つや二つの小国を念頭に置いたものではないということは明白である。

 われわれのミサイルを防ぐためにアラスカから日本とグアム島を経て、遠く南方の大洋州にまで防衛網を拡大するというのも話にならず、イランのミサイルを防ぐためにグリーンランドと英国を経て東欧にまで迎撃ミサイル基地を配備するというのも論理に合わないき弁である。

 もし、米国が実際にわれわれのミサイル能力に脅威を感じているとすれば、このように莫大な資金をとう尽する方法ではなく、平等な交渉を通じて解決できる機会はすでに何度もあった。

 われわれはすでに、クリントン政権時代に米国と欧州諸国の懸念を考慮して彼らにミサイル交渉を提案したことがあり、信頼を図るために朝米会談が行われる期間には一方的に長距離ミサイルの発射を臨時中断する善意の措置まで取ったことがある。

 しかし、ブッシュ政権は権力の座につくなり、これらの機会に背を向け、反対に強硬一辺倒の対朝鮮敵視政策を追求することにより、われわれをしてミサイル能力を含む抑止力をいっそう強めざるをえなくした。これは、彼らにMDシステム樹立を強行するための口実が必要であったということを示している。

 現在、米国のMD網はユーラシア大陸を東と西から圧縮する方向でつながっている。

 二度と自国に挑戦する勢力が現れないように事前に抑止するというのが、冷戦後、世界制覇をめざす米国の戦略の中心であった。

 米国はまさに、ユーラシア大陸にそのような潜在力を持つ諸大国が存在し、最近になって彼らの潜在力が予想よりも早い速度で大きくなっていると見なしている。

 結局、焦った米国の現政権は、MDシステムの実効性がまだ技術的に十分に検証されていないにもかかわらず、その樹立を急ぐことにしたのである。

 ユーラシアの諸大国がこれに対抗して軍備競争に巻き込まれれば、彼らの力をそぐうえで都合がよく、巻き込めなくてもMDシステムを一方的に引き続き完成させて拡大することにより、ほかの諸大国の核報復能力を無力化させて自国の軍事的覇権をより絶対化できるというのが米国の打算である。

 これが放任されれば、あげくには世界に多極化の推移も、民主化の希望もすべてなくなり、残るのはただ一つの覇権国が振り回す軍事的恐喝と専横だけになるであろう。

 米国は今、小国を口実に掲げているが、MDシステム樹立問題はその戦略的比重からして、そのような口実がなくなるからといって解消される問題ではない。

 むしろ、米国がわれわれに言いがかりをつけるほど、そして米国の策動によってわれわれの周辺で軍備競争が激化されるほど、われわれはやむをえず自衛的抑止力をいっそう強化していかざるをえなくなるであろう。(朝鮮通信)

[朝鮮新報 2007.6.22]