top_rogo.gif (16396 bytes)

ヒル次官補の訪朝 「問題の包括的解決」を強調

 【平壌発=李相英記者】6者会談米国側首席代表のクリストファー・ヒル米国務次官補が21日から22日まで訪朝し、金桂官外務次官と会談を行った。

 朝鮮半島核問題解決の当事者である朝米の今回の直接対話は、一時的な停滞を経て、また動き始めた合意履行過程に拍車をかけるきっかけとなるだろう。

 21日昼、ヒル次官補一行を乗せた米軍用機が平壌空港に到着した。6者会談米国側首席代表の初訪朝の瞬間だった。

 朝鮮側は一行を歓待した。

 「われわれはあなたを待っていた」

 「月曜日に(朝鮮側から)メッセージを受けとった。急いで(朝鮮行の)飛行機の手配をした」

 友好的な雰囲気の中で話を交わしながら、空港ビル内を一緒に歩いて行く李根外務省局長とヒル次官補の姿からは、対話の相手を尊重し、そのうえで協議に臨もうとする双方の積極的な姿勢がうかがえた。

 「バンコ・デルタ・アジア」(BDA)問題の解決の遅れにより、6者会談の「2.13合意」の履行は持ち越されてきた。

 ヒル次官補は平壌に到着するやいなや、「春から失ってきた時間を取り戻したい」と、今回の朝米直接対話に対する意欲を示した。ヒル次官補の表情はさる3月、成果なしに終わった第6回6者会談時の疲労感に満ちた表情とはまったく異なった。

 22日、ヒル次官補一行の平壌出発に先立ち、朝鮮側関係者たちと米国側一行は、空港でお互い努力をたたえあった。李根局長とヒル次官補は別れのあいさつを交わしたあとも、耳打ちし合いながら話していた。

 ヒル次官補は、「6者会談過程を進展させる問題をすべての側面で論議した。良い話し合いをした」と自らの平壌訪問を評価した。

 「朝鮮側の核廃棄と朝米関係正常化のどちらを優先しているのか」

 空港で記者が投げかけた質問にヒル次官補は、「われわれは問題の包括的な解決を願っている。朝鮮半島非核化はその重要な要素だ」と答えた。さらに、「9.19共同声明の完全履行」に言及しながら、「問題の包括的解決」を強調した。

 米国の戦略的目標の優先順位を問う質問に対してヒル次官補が「包括的(comp
rehensive)」という言葉を重ねて使用しながら答えたことは、示唆的だった。

 ヒル次官補が言及した「9.19共同声明の完全履行」は、朝鮮半島核問題の解決のみならず、朝米敵対関係の清算と関係正常化、さらには地域の安全保障構図の根本的な変化を伴うことになる。

[朝鮮新報 2007.6.25]