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〈月間平壌レポート〉 「主権侵害」で反日感情は頂点に

総連支持する市民の声 「弾圧に負けるな」

 【平壌発=姜イルク記者】今月上旬から約1年ぶりの平壌常駐生活が始まった。

 久々の平壌の印象は、まず、多くの建物がきれいになったことだ。

 近年行われている市内の主要道路とその周辺建物の補修整備事業が進み、大同江ホテルの建設も急ピッチだった。

 大同江遊歩道もきれいに整備され、以前とはまったく姿を変えた。宿泊している平壌ホテルからの毎日の散歩が楽しみになった。多くの宿泊客が毎朝散歩している。

 久々なせいか、どのレストランも料理全般がおいしくなった印象だ。とくに平壌冷麺は最高。数年ぶりに平壌を訪れた先輩記者は麺好きでもないのに、10日間の滞在中に5回も食べていた。そのたびに大絶賛していた。

 人々の関心事はというと、総連と在日同胞の置かれた処遇だ。会う人々みなが激励してくれ、安倍政権の行方、総連中央会館問題などに大きな関心を寄せていた。取材の先々でも同様だった。日本当局への怒りは頂点に達している。

「映像を観て憤慨した」

日本当局の総連弾圧に糾弾の声を上げる韓徳洙平壌軽工業大学の学生、教職員ら

 総連中央会館の建物と土地に対する強制競売を、朝鮮に対する「主権侵害」として非難する1日の朝鮮外務省スポークスマン声明が発表されて以来、朝鮮国内では、大々的な反日キャンペーンが繰り広げられた。

 10日からは平壌市内各所と元山などで「日本反動の総連弾圧策動を糾弾する群集集会」が連日開催された。新聞も引き続き安倍非難を行うなど、反日気運は鎮まる気配はない。

 工場や教育、スポーツ関係者など取材の先々で会う人々も、必ずといっていいくらい安倍政権の総連弾圧の話を持ち出し、テレビで放映された在日本朝鮮留学生同盟中央本部に対する強制捜索(4月25日)の映像を見て怒りを抑えきれないと語る。朝鮮中央テレビは7月に入ってからも再三にわたり、この映像を放映している。

 市民らは、総連に対する日本当局の弾圧についてメディアを通じて「知識」としては知っていたようだが、今回は活字や言葉だけではなく映像をとおして、どれだけ総連と同胞を弾圧しているのかを実感したようだった。

 以前から日本に対する感情はよくなかったが、反日機運はこれまでと比較にならないほど高まっている。とくに、前首相に対しては個人批判をしなかったが、安倍首相に対しては容赦がなく、「悪」だという認識で固まっている。

加速化する「2.13」履行の流れ

 3月から平壌で常駐活動していた後輩記者とは約4カ月ぶりの再会となった。彼は6月末に日本に戻る予定だったが、米国務省次官補の訪朝に次ぎ、国際原子力機関(IAEA)、中国外交部長など相次いで訪朝した代表団の取材のため滞在期間が延長され、現地平壌でのバトンタッチとなった。彼はヘトヘトになりながらも、激動の瞬間を取材した充実の表情を浮かべていた。

 6月は、米国務省次官補の訪朝など、国際情勢が大きく動き始め、7月にも6者団長会談の開催など9.19共同声明、「2.13合意」の履行に向けた流れは引きつがれている。今後、さらなる加速が予想される。

 8月には、8.15民族統一大祭典(釜山)という北南間のビッグイベントが予定され、北南関係全般の進展も期待されている。

 朝鮮敵視を続けてきた日本はますます孤立を深めるのか、国際社会の流れに合流せざるをえないのか、安倍政権にとっては頭が痛いことだろう。

[朝鮮新報 2007.7.27]