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総連代表団の南朝鮮「入国」問題

「一般申請方式」導入で規制強化 事実上の禁止措置

 毎年恒例の8.15行事は今年、北、南、海外の地域別に開催された。北、南、海外代表が一堂に会して釜山で行われるはずだった共同行事が中止となった理由の一つとして、総連代表団の「入国」に関する南朝鮮当局の不当な措置が挙げられる。海外側の特定団体や人物の「入国」問題が取りざたされたのは今回が初めてではない。民族和解と協力の流れに逆行するような南当局の措置はたびたび問題視されてきた。総連をはじめ海外側代表団の南朝鮮「入国」問題の経緯などについて見た。

「到底受け入れられない」

南当局の「入国」手続き規制強化に非難の声が高まっている(写真は今年6月に平壌で行われた民族統一大祝典に参加した海外側代表)

 2000年、6.15北南共同宣言の発表によって、総連同胞の南朝鮮訪問をめぐる問題にも大きな変化があった。同年7月、ソウルで行われた第1回北南閣僚級会談で北側が総連同胞の故郷訪問問題を提起。南側と合意し、「第1次総連同胞故郷訪問団」として9月22日から27日まで故郷訪問が実現した。その後も訪問団事業は続いた。

 北南赤十字間の合意に従って、総連訪問団は一回限りの「旅行証明書」を用いた簡単な方法で「入国」手続きをできるようになるなど、北側代表団と同格の待遇が保障された。芸術人、学生などの各級代表団も故郷訪問団に準じた「入国」手続きを踏んで南を訪問した。しかし、今年から総連代表団の「入国」手続きに「一般申請方式」が導入された。申請書のほかに、代表団全員の委任状、履歴書、家族関係および北と南にいる縁故者のリストまで提出を義務づけるというもの。

 「一般申請方式」を総連代表に適用することに対して「6.15共同宣言実践海外側委員会」の朴勇事務局長は、「個人のプライバシーに関する問題」と指摘、過去7年の間に既成事実化した手続きを一方的に無視して過去の対決時代の論理を持ち出すのは「総連関係者は統一行事に参加するなと言っているようなものだ」と非難した。

 民主労働党や進歩連帯、「わが民族一つになる運動本部」など南の政党、市民団体は7月21〜23日まで総連の統一運動、人権、民族教育関係者4人を招待して「在日同胞招請討論会」を企画していた。しかし駐日領事館側が「旅行証明書」の発給申請書類の受け取りを拒否、「一般申請方式」を要求し総連代表団の「入国」を事実上拒否したため、中止に追い込まれた。

南の公安政局と関連

 6.15共同宣言が発表されて7年経った時点で、総連関係者の「入国」手続きを一方的に変更し複雑にする背景には何があるのか。

 「6.15海外側委員会」の関係者は南での公安政局との関連を指摘する。

 現在南では、民主労総、韓総連、全教組をはじめとする団体や市民運動家に対する弾圧、インターネットサイトの規制強化など、「進歩陣営」に対する当局の弾圧が従来にも増して厳しくなっている。一方で、日本当局の政治弾圧に反対する総連の活動への支持世論が南で高まっている。南当局の公安弾圧の一環として総連代表団に対する「入国」規制が実施されているという分析だ。

 特定の団体や人物に対する「入国」禁止などの不当な措置は、民族共同行事が開催されるたびに問題視されてきた。

 2000年以降、南当局は北側地域開催の共同行事に参加する一部の南側人士らに対して、国家保安法を適用、訪北禁止にするなど弾圧してきた。2005年からは海外側の一部人士に対する南側への「入国」禁止措置が続いている。

 昨年6月、光州で行われた6.15共同宣言発表6周年記念民族統一大祝典では、6.15海外側委員会の朴勇事務局長や林民植副委員長ら5人が「スパイ」容疑をかけられ事実上の入国拒否となった。また、「入国」自体は許可するが、さまざまな活動上の制限を課すなどの圧力をかけている。

「6.15の精神に背くもの」

 国家保安法をはじめ6.15共同宣言の実現を阻む法的、制度的障害を除去する問題が、北南関係や統一運動の発展において必須の問題として提起されている。海外側の特定人物や総連代表団に対する「入国」規制は、法的、制度的障害の代表的な事例といえる。

 南当局の措置に対して、北側や南側からも「6.15の精神に背くもの」だという批判がわき起こった。

 海外側委員会としては、今回のような事態がこれからも繰り返されるなら、民族統一行事の南側開催が難しくなるとの立場だ。朴勇事務局長は、海外側から一人でも「入国」が禁止された場合、これを海外側全体への措置とみなし、行事への不参加も考慮せざるをえないとの見解を明らかにした。(李相英記者)

[朝鮮新報 2007.8.17]