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〈北南首脳対面〉 変革主導する総書記の意志 崩れ始めた対立の構図

 【平壌発=金志永記者】2007年10月、金正日総書記と盧武鉉大統領の対面と会談は「北南関係の発展と平和・繁栄のための宣言」という結実を結んだ。宣言は6.15共同宣言の基本精神である「わが民族同士」の全面的な具現を目標として提示した。

根本問題の解決

 2000年6月の首脳対面と6.15共同宣言の発表は、反目と対決の北南関係を和解と団結の関係に変えた。当局と民間レベルでさまざまな対話と接触が行われ、幅広い協力と交流が進められた。

 一方で6.15共同宣言実践の過程には障害もあった。その要因は民族内部と外部の両方にあった。今回の首脳対面での合意事項は、北と南が7年間にわたる共同宣言実践の経験から学び、相互関係をより高い段階へと発展させるためのものだった。7年の間に北南関係には多くの前進があったといわれるが、本質的な変化はなく、表面上のちょっとした変化が目につくだけと指摘されてきたのも事実だ。対決の時代の旧態を根本的に捨て切れなかった現実が存在した。

 人的往来や物資交流が決して北南関係の発展を計る尺度にはなりえないと話す北側関係者は多かった。実際「6.15時代」に入っても、相手側の思想と体制を否認し対決を鼓吹する行為が根絶されたわけではなかったし、同族を敵として規定する法が民族の団結と交流、協力にブレーキをかけた。経済協力に関しても、合意と接触は多かったが6.15共同宣言が示した「民族経済の均衡的発展」を決定的に推し進めるような投資はなかった。

 北南関係がより高い段階へと発展するには古い慣行と慣習、制度的障壁を除去しなければならない。このために、政治、軍事、経済分野で提起される「原則的で根本的な問題」を解決する実践的な措置を講じる必要があった。7年ぶりの北南首脳対面はその課題を論議の中心にすえた。

平和実現の方法

 今日の情勢下で北と南が6.15共同宣言にある「わが民族同士」の精神を再確認し、それに沿って民族問題解決の主体として行動していく意志を内外に示した意義は大きい。

 6.15共同宣言の発表を機に民族和解と団結の時代が到来したといわれたが、外部勢力の脅威に翻弄される不安定な北南関係は続いた。とくに朝鮮半島を舞台に起こった「第2次核危機」は、非正常な北南関係の実態をあらわにした。北と南双方が合意した問題が外部勢力の干渉に縛られてその履行が中断されることもひんぱんにあった。

 朝鮮半島問題の関係国が参加する6者会談で一連の合意が採択、履行される中で実現した今回の北南首脳対面は、世界の注目を集めた。しかし平壌で成された会談は、多国間協議の一環ではなく、民族の懸案、民族の未来を論じる「民族会談」として行われた。

 盧武鉉大統領は今回の平壌訪問に先立ち「平和定着」の重要性を指摘し、その実現を北と南が解決すべき最優先課題の一つとして提起した。今回の北南首脳対面が「わが民族同士」の精神を再確認したことで、「平和定着」実現のための方法も明らかになった。

 朝鮮の核実験と6者会談の再開、米国の政策転換など昨年からの事態進展は、 朝鮮半島の軍事的緊張と戦争の危険が民族内部ではなく外部勢力との関係から発生した事実を証明している。

 今回の首脳対面で発表された宣言も、朝鮮半島核問題と6者会談「9.19共同声明」について言及している。2年前に6者が合意した同声明は、朝米敵対関係の清算による核問題解決のロードマップを提示した。

 北南朝鮮による「わが民族同士」の実践は、6者会談合意の履行過程を促進させる推進力だ。血を分けた同族として、北と南が互いの関係をより高い段階へと発展させていくことこそ朝鮮半島で圧力と脅威、支配と干渉を行ってきた外部勢力の政策を転換させる近道となるだろう。

「6.15」と「9.19」

 のちに人々は2007年10月を大きな変革の2つの流れが一つに合わさった歴史の起点として記憶するかもしれない。金正日総書記の卓越した領導術により「6.15」と「9.19」が交わった。

 2日間で重要な合意が相次いで発表された。北京で「9.19共同声明」履行の第2段階目標と行動計画に関する6者会談合意が公表された翌日、平壌では「北南関係の発展と平和・繁栄のための宣言」が出された。

 6者合意に応じた米国の対朝鮮政策の転換は朝鮮半島と東北アジアの秩序再編と直結する。「9.19共同声明」履行の局面における「6.15共同宣言」によって、北南関係は外部勢力との関係より後方へ追いやられ制約されるのが常であった過去とはまったく異なる様相を帯びるようになるだろう。北と南が声を合わせる「わが民族同士」の叫びは、この地域の未来像を規定する最も重要な要素だ。

 激動する国際情勢の中で平和と繁栄、統一の民族史を創造する絶好の機会が訪れている。世界は、2回目の首脳対面を発起して南側に提案した総書記の真意を、急変する現実の中で確かめるようになるだろう。

 朝鮮半島と東北アジアの最後の対立構図が音を立てて崩れはじめた。

[朝鮮新報 2007.10.10]