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〈繁栄と統一の新時代、宣言発表後の北南関係−上〉 民族団結のための法制度整備

協力、交流に大きな変化も

 【平壌発=金志永記者】金正日総書記が盧武鉉大統領とともに署名した「北南関係の発展と平和・繁栄のための宣言」には、内外の現状を打開し転換させるための実践的措置が明示されている。宣言が誠実に履行される時、北南間の政治、軍事、経済および社会文化的関係と、朝鮮半島をめぐる国際環境は大きく変わっていくことが予想される。

冷戦対決時代の残滓

盧武鉉大統領の「アリラン」鑑賞は「体制の相互尊重」を促進させるものとして大きな歓迎を受けた [朝鮮中央通信=朝鮮通信]

 宣言は、各分野におけるさまざまな計画に幅広く言及している。

 「わが民族同士」の精神を実践するにあたっての要点は、「北南関係における根本的、原則的な問題」の解決だ。

 今回の北南首脳会談は、民族の和解と団結、協力と交流の法的、制度的整備に論議の焦点を合わせた。「根本問題の解決」は、近年の閣僚級会談をはじめとする当局間対話でも例外なく上程されてきた議題だ。

 2000年6月の北南首脳会談と6.15共同宣言の発表により、和解と団結、協力と交流の土台はもたらされたが、南側による北側の思想、体制、制度を否定し、き損する行為が根絶されたわけではなかった。

 過去7年間に北南間の往来がひんぱんになされ、平壌とソウルで華やかな行事も数多く行われたが、その根底にはいまだ冷戦対決の残滓が沈殿していた。この間、当局者会談で多くの合意をみたが、関係発展に実質的意味を持つ措置は何一つ講じられなかったといっても過言ではない。

 南側の人びとが北側の体制の最高象徴である金日成主席にちなんだ聖地と名所をいまだ自由に訪問できないことがその好例だ。南当局は現在まで許可措置を講じていない。

 北南間のすべての合意は、相手側に対する尊重を前提とするべきだが、双方の当局は「わが民族同士で力を合わせていこう」という言葉は発しても、北南関係の基本的な問題さえ解決できなかった。

大統領が作った先例

 今回発表された宣言は、第1項目で6.15共同宣言を固守、具現していく意志を鮮明にし、第2項目で「思想と制度の違いを超越し、北南関係を相互尊重と信頼の関係に確固と転換させていくことにした」と謳っている。

 一般の会談ではなく首脳同士の会談で、政治、軍事、経済、文化の各分野に残る「対決の障壁」を崩す政策的決断に関する合意がなされた意味は重い。

 盧武鉉大統領は平壌訪問期間に大マスゲームと芸術公演「アリラン」を観覧した。

 「ハンナラ党」をはじめ保守右翼勢力が、公演に「北の体制宣伝」というレッテルを張って観覧に反対したが、大統領は「相互の体制を認め合い相手側の文化に対する理解を深める観覧」(青瓦台スポークスマン)との判断に基づき、ひな壇に座った。ひな壇にいる大統領の姿を見て、多くの平壌市民も「北南関係の新しい時代が開かれた」と実感していた。

 大統領が作った良い先例を南側の全ての人びとが倣うためには、北側に対する尊重をタブー視する古い観念と慣習をなくすべきだ。当局の次元でまず取るべき実践的措置は、「国家保安法」のような同族対決の法律的、制度的装置を大胆に捨て去ることだ。

 宣言の第2項目がそのまま履行され、北南関係で提起されてきた「根本問題」が解決するようになれば、6.15共同宣言の「わが民族同士」の精神を各分野で実現していくスピードは、以前よりはるかに上がることだろう。

 逆に言えば、宣言の合意事項の履行は、宣言第2項に言及された問題の解決を前提とする。

「一つの朝鮮」

 南朝鮮では12月に大統領選挙が実施される。

 盧武鉉大統領の後任に誰がなろうと、世界の面前で交わした約束を簡単に覆すことはできない。

 北南首脳会談での合意は実践に移されるだろう。

 今回発表された宣言にもあるように、6者会談での合意が順調に履行され、北と関係各国との関係が大きく変化するとき、北南関係は現状維持の段階に留まるものではない。

 海州とその周辺海域を包括する「西海平和協力特別地帯」の設置、開城−新義州間鉄道と開城−平壌間高速道路の共同利用、安辺と南浦での造船協力地区建設のような経済協力事業は、これまでは着眼と構想の次元で論議されていた計画だった。

 また宣言には、社会、文化分野での交流と協力の活性化、離散家族、親せきらの面会事業の拡大など人道分野での協力事業の積極的な推進も明記された。

 首脳会談で決まった事業計画の推進は、北と南が民族共同体として血縁の絆を強化し、力と知恵を合わせ国際社会で「一つの朝鮮(ONE KOREA)」の尊厳を轟かせる過程となるはずだ。

 北南関係は新たな発展の段階へ入った。

 当局も民間も「わが民族同士」のスローガンをためらうことなく叫び、北と南で自由に協力、交流し合うことができる状況と条件がそろうとき、民族構成員の生活様式は大きく変わるだろう。総連同胞をはじめとする海外同胞も例外ではない。

 宣言には「08年北京五輪に北と南の応援団が西海線列車を利用して参加する」というくだりがある。過去、北と南がこれほど難しい計画を1年以内に準備することは考えられなかった。

 07年10月の宣言は、北南関係に過去7年間よりさらに大きな進展をもたらすだろう。

 北南関係に根本的な変化が期待されている。不必要なブレーキを取り外して走る「統一急行列車」のスピードは想像以上に速いはずだ。

[朝鮮新報 2007.10.12]