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〈繁栄と統一の新時代、宣言発表後の北南関係−下〉 「6.15」具現へ国際環境醸成

民族の自主的要求貫徹

 「北南関係の発展と平和・繁栄のための宣言」は、北南首脳による「民族会談」の産物だ。一方、宣言は国際社会の動きを反映し、急変する情勢への対応策も提示している。

朝鮮戦争の終結

第6回6者会談第2ラウンド閉幕後、握手を交わす各国代表(9月30日、北京・釣魚台迎賓館) [写真=聯合ニュース]

 宣言の第4項には朝鮮戦争の終結を宣言する3者、または4者首脳会談の開催問題が言及された。ならびに6者会談「9.19共同声明」と「2.13合意」が順調に履行されるよう北と南が「共同で努力」することも明記された。今後、朝鮮半島をめぐる国際関係がどのように進展していくかを示すものだ。宣言の一節は世紀をまたいで維持され続けてきた最後の冷戦構造の崩壊を予告している。

 6者会談進展の局面で開催された今回の北南首脳対面に世界の注目が集まった。3日、「9.19共同声明」履行の第2段階措置に関する合意が北京で発表された。翌日、平壤では北と南の6者会談合意履行意志が「宣言」を通じて内外に示された。

 6者会談参加国の一部が「宣言」の第4項を恣意的に解釈する可能性がある。大国はしばしば、自国の利益に沿うような我田引水式の論理を持ち出す。過去に米国が「関係国との協力」を云々しながら「6者会談の目標は北朝鮮の一方的な核放棄にある」と主張したのが代表的事例だ。このような米国式の論理に基づくなら、「10.4宣言」も南側の大統領が国際社会を代表して「核放棄に関する北側の言質を引き出した」と解釈されるだろう。

 6者会談について、南が米国をはじめとする「関係国との協力」を強調してきたことは事実だ。しかし「10.4宣言」は北南首脳会談の結果として生まれた。北は6者会談の目標が、朝鮮半島とその周辺において全ての核の脅威を根源的に除去する非核化にあると主張してきた。6者が合意した「9.19共同声明」にもそのように明示されている。

「民族共助」の実現

 朝鮮半島非核化のロードマップの本質は、「朝米敵対関係の清算を通じた核問題の解決」だ。等式で表せば、「朝鮮側の核放棄=米国側の敵視政策放棄」となる。6者合意が順調に履行されるように南側と「共同で努力」するということは、北側の立場で解釈すれば、「北と南が同じ民族として共助しながら、米国の政策転換を促していく」という意味だろう。

 南の大統領が平壤を訪問し、6者合意履行に関する問題が言及された「宣言」に署名できたのは、それだけ客観的情勢が変化し、核問題解決の機会が熟しつつあることを示すものだ。北が核実験を行った1年前なら、「宣言」に南の大統領が署名することは容易ではなかっただろう。

 今となっては、米国自らが朝鮮に対する政策転換を明言している。「行動対行動」の原則によって、そうせざるをえない状況も醸成されている。

 2002年、朝鮮半島で「第2次核危機」が始まって以来、南側が米国との「共助」を優先させようとすればするほど、同族である北との対立が激化した。しかし平和問題と民族問題が対立する「悪循環の連鎖」は断たれた。北側の攻勢が、北南朝鮮の「民族共助」を米国が表だって反対できない構図を作り出したといえる。

 北と南は、民族の統一綱領である「6.15共同宣言」と6者会談という多国間外交によって生まれた「9.19共同声明」を並列して実践、履行できる機会を得た。

東北アジアの構造改編

 「宣言」は関係国の「支持」と「歓迎」を受けた。北と南は「宣言」第一項で「わが民族同士」の理念を再確認、「6.15共同宣言の固守と具現」に基づき「統一問題を自主的に解決し、民族の尊厳と利益を重視し、すべてをこれら目標の実現に向かわせていく」と宣言した。

 今後の朝鮮半島情勢は、宣言履行に向けた北と南の努力に国際社会がどのような反応を見せるかという問題が変数として作用するだろう。「9.19共同声明」履行と非核化実現のために、互いに協力して主要な役割を果たすと宣言した北と南の意志を、米国をはじめ関係国もむやみに否定できない。

 朝鮮戦争の終結を宣言する3者または4者による首脳会談の開催問題を首脳レベルで公文化したのは今回が初めてだ。開催地は「朝鮮半島地域」と明記された。

 6者会談の進展状況から見ると、終戦宣言は遠い日のことではない。北の国防委員長が、朝鮮半島分断と半世紀にわたる軍事的緊張状態に責任を負っている米国大統領と向かい合う瞬間が近づいている。

 朝鮮にとって戦争終結と恒久的平和体制の構築は、それ自体で完結されるべき目標ではない。米国の政策転換は「6.15共同宣言」が提示した自主統一という目標達成のための条件でもある。「9.19」履行の局面における「6.15」実践は、北南朝鮮をはじめ朝鮮半島問題の関係国すべてを巻き込む一大変化につながることが予想される。

 北と南が統一問題の自主的解決に向けた国際環境を整備するプロセスが、今まさに始まろうとしている。(金志永記者)

[朝鮮新報 2007.10.17]