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朝鮮 将来見すえた資源開発

地質探査事業を重視 新たな採掘地確保も

 【平壌発=呉陽希記者】今年、国家資源開発指導局が咸鏡南道、平安南道、黄海南道などの地域で埋蔵量が豊富な炭鉱や鉱山候補地を新たに確保したことについて紹介する内容が労働新聞に掲載された(10月20日付)。朝鮮に眠る無尽蔵の地下資源は、「経済強国建設を可能にする担保」だと関係者は話している。

共同社説の課題

朝鮮最大のマグネサイト採掘地である龍陽鉱山(咸鏡南道端川市)の一部。別名「白金山」とも呼ばれる

 今年の新年3紙共同社説は、「経済発展の未来を見通し、地質探査事業を先行させながらエネルギーおよび資源開発を展望性を持って進めていく」という課題を提示した。

 共同社説には、その年の国の基本方針が示される。2000年以降、国家の全般的経済を早急に回復、発展させるために、先行部門(電力、石炭、金属、鉄道運輸)に対し国家的な力を注ぐことについて強調してきたが、地質探査に対する言及が登場したのは今年が初めてだ。

 国家資源開発指導局のキム・チョルス副局長(42)は、「20年、30年後の国の経済を見据えた具体的な表現だ」と話す。候補地に対する地質探査だけでも5年、その後の開発まで含めるとそれ以上の年数が必要となる。

 国家資源開発指導局は、国のすべての経済部門に必要な原料、燃料、資源に対する地質探査事業を行っている。炭鉱や鉱山を建設するための資源探査を行い、採掘の展望が確保された対象を国へ渡すまでが国家資源開発指導局の仕事となる。

 1950年代、朝鮮では国の全般地域に対する資源探査と、その結果をデータ化する作業が行われた。90年代に入ってからは衛星システムを導入、これによりいっそう信頼性が高く正確な探査が可能となり、新しい候補地も確保できるようになった。

 他のすべての部門がそうであるように、資源探査部門でも毎年国家レベルで事業方向が決められる。例えば06年は鉄鉱の探査を先行させており、今年は石炭と非鉄金属探査に重点が置かれた。

「錦繍江山」の国

キム・チョルス副局長

 「国家は常にこの部門に対する投資を優先させ、関心を払ってきた」(キム副局長)

 「苦難の行軍」と呼ばれる90年代後半の経済的試練の時期にも、探査部門に対する投資規模は縮小されなかった。

 「外国の専門家の中には、わが国のことを真の『錦繍江山』と呼ぶ人もいる」

 ある国は石油、ある国は石炭というふうに一国で特定の資源を有する場合が世界では一般的だが、「わが国には各種地下資源が均等に埋蔵されている」とキム副局長は説明する。

 とくに鉛、亜鉛、銅、モリブデン、希有希土類のような「最先端工業で要求される資源がほとんどすべてある」という。

 探査技術の科学化が促進された結果、これまで小規模に確保してきていた希有希土類資源も、鉱山規模で工業化することができるようになった。キム副局長は、これら豊富な地下資源が「経済強国の建設を担保するもの」だと強調する。

 現在、北南朝鮮の間で軽工業および地下資源協力事業が行われている。中国をはじめ諸外国も朝鮮の地下資源に関心を示している。

 キム副局長によると、工業部門では国際協力が可能だが、資源探査部門ではいっさい他国との協力を行わないという。資源探査に関する問題は国家戦略と関連する極秘事項だからだ。

新たな資源確保を

 最近の主な探査対象地は咸鏡南道端川市の剣徳地区だ。年内に細部に至る精密な探査を行い、来年初頭にも資源の分布区域や埋蔵量などの細部データが総合されるという。

 また、炭鉱に対する探査事業も行っている。現在、朝鮮の基本燃料資源は石炭であるだけに、大きな力が注がれている。現在の年間消費量で計算すると、今後30余年にわたって燃料問題を解決できる量がすでに確保されているという。

 キム副局長は、「まだ国内で探し出せていない新種の資源、次世代に譲り渡す資源を探し出すのがわれわれの義務」だと話す。朝鮮の複雑な地質状態を考えれば、新たな資源が発掘される可能性は未知数だが、現在、資源確保をより高い確率で行うための独自のプログラム開発に力を入れている。

[朝鮮新報 2007.11.30]