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〈論調〉 なぜフセイン処刑を急いだのか

 昨年の12月30日、人々に衝撃を与える一つの動画資料が公開された。

 前イラク大統領であったサダム・フセインを処刑する場面であった。

 現在、ブッシュ政権は不当な対イラク政策によって深刻な政治的ジレンマに陥っている。イラク戦争開始から5年間、米軍の死者数は3000人を超え、教派間対立と矛盾の激化により、イラクは内戦の入口に到達した。

 このため、米国ではブッシュ政権の対イラク政策に対する批判と反戦気運が増大し、イラク政策変更を求める声が日増しに高まっている。昨年11月の議会中間選挙の結果は、共和党とブッシュ政権の対外政策に対する民心の反映であった。

 こうしたなか、ブッシュは新年に入って間もなく、新イラク政策を発表しなければならない政治的課題を抱えるようになったが、その見解というものは、主な抵抗勢力であるスンニ派武装勢力を武力で鎮圧すべきであり、そのため軍隊を撤退するのではなく、さらに増派しなければならないということである。

 民主党の武力増派反対の立場をくじき、新イラク政策構想を実践に移す名分をつくるために治安悪化の責任をスンニ派武装勢力に転嫁する一方、そのトップであるサダムを急きょ処刑したということである。

 現在、国際社会の大多数の世論と分析家は、米国がサダム処刑を政治目的に悪用してイラクを完全に滅ぼしたとし、この国で内戦の火ぶたを切った米国がその全責任を負うことになると警告している。

 このように、米国はイラクで「民主主義」の秩序確立と国家再建のために努力しているのではなく、無秩序と混乱をきたし、この国を台無しにすることだけをしている。イラクの情勢安定のために米軍が一日も早くこの国から撤退しなければならないという主張は、当然のことだ。

 ブッシュが内外の一致したイラク駐屯米軍撤退要求に耳を傾けず片意地を張っているため、米国はイラクの泥沼に深く陥り、それによってさらなる苦境に直面するだろうと人々は一様に展望している。(民主朝鮮17日付記事)

[朝鮮新報 2007.1.27]