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国会議員、市民団体ら 参院議員会館で集会 「慰安婦」解決促進法、早期制定を

「事実明らかにし真実伝えて」 米議会公聴会で証言した被害者参加

集会で報告を行う李容洙さん

 安倍政権誕生後、下村博文内閣官房副長官をはじめ自民党を中心とする国会議員の間から、日本政府が「従軍慰安婦」への日本軍の関与と強制性を認め、「おわびと反省の気持ち」を表明した「河野洋平官房長官談話」(93年)の「見直し」を要求する動きが公然化し内外世論の厳しい批判を受けている。こうしたなか、米下院のマイク・ホンダ議員をはじめとする与野党議員が1月31日、第2次世界大戦中の日本軍「慰安婦」と関連、日本当局の責任認定と日本首相に公式謝罪を求める「従軍慰安婦決議案」を提出した。2月15日には米議会で初めて「慰安婦」被害者3人を招いての公聴会(主催=国際関係委員会アジア太平洋・地球環境小委員会)が行われた。同決議案は2000年以降、01年、05年、06年に続いて今回が4度目の提出。決議案通過に大きな権限をもつナンシー・ペロシ下院議長やトム・ラントス外交委員長などが、決議案を積極的に支持する立場をとっていることから本会議通過の可能性が高いと見られている。同決議案をめぐる動きについてまとめた。(呉陽希記者)

 米議会での公聴会で証言した李容洙さん(78)は2月21日、参院議員会館で行われた「米国下院で証言された被害者とともに『戦時性的強制被害者問題解決促進法案』の審議を求める緊急集会」(呼びかけ=「戦時性的強制被害者問題解決促進法案」(以下「促進法案」)の立法を求める連絡会議、「慰安婦」問題の立法解決を求める会)に参加し米下院で行った証言についての報告を行った。

 李さんは1944年、15歳のときに日本軍によって連行され、「慰安婦」を強要された。92年、「慰安婦」被害者であることを南朝鮮当局に申告した。その後、日本をはじめとする各国で証言活動をしている。

 集会には、李さんをはじめ、郡和子(衆)、岡崎トミ子(参)、円より子(参)、千葉景子(参)、江田五月(参)、那谷屋正義(参、以上民主党)、福島みずほ(参、社会民主党)、吉川春子(参、日本共産党)議員などの国会議員と、「慰安婦」問題の立法解決を求める会の土屋公献会長をはじめとする日本の市民団体メンバーらが参加した。

 集会報告で李さんは、米議会公聴会で「慰安婦」として連行された当時の状況などについて詳細に説明したと述べた。また、彼女の証言に先立ち共和党の議員が「日本は決議案が要求している謝罪などの条件をすでに満たしている。前の世代の過ちにより日本の今の世代が処罰されてはならない」という日本を擁護する内容の発言をしたことに抗議したことも明らかにした。

 また、日本当局が歴史事実を明確に調査して、真相を明らかにし、若い世代に真実を伝えるよう求めた。

 続いて国会議員たちが発言した。

 円議員は「(被害者の証言は)日本の国会がすべきこと。米国で先に実現し恥ずかしく思う。日本がアジアで尊敬される国になるには戦争加害責任をきちんととって周辺の国々と友好を深めていかなければならない」と述べた。

 那谷屋議員は「自国の問題であるのに、自身で解決できずに米国に頼っている。謝罪というのは人と人が真剣に心から過ちを認め、相手とわかりあうことで成立する。現在、そうなっていないことに憤りを感じる」と話した。

 また、岡崎議員は「現在、『促進法案』が(審議されず)吊るしっぱなしになっている。法案を通過させ被害者の名誉を回復したい。そのために通常国会で審議されるよう努力していく」と述べた。

 吉川、千葉、福島議員らも、米下院に提出された決議案の通過阻止を目的に日本当局がロビイストを雇いロビー活動を行っていることについて非難した(別項参照)。

 この日、「促進法案」の立法を要求する連絡会議のメンバーらは、同団体が集めた「『促進法案』の早期成立を要求する請願」署名書を参加議員らに手渡した。

外務副大臣に要請

 李さんは同日、集会で報告を行ったあと外務省を訪ね、浅野勝人副大臣と約20分間面会した。

 同行した「戦後補償ネットワーク」の有光健氏によると、浅野副大臣は、「日本政府のこの問題に対する態度は何も変わっていない」と93年の「河野洋平官房長官談話」で示した立場を踏襲する姿勢を示した。

 李さんは「日本は(「慰安婦」問題を)解決すべき時期にきている。徹底的に調査を行い、若い人にも事実を知らせてほしい。(被害者の)ハルモニたちは高齢なので、早く解決してほしい」と訴えた。

 同席した岡崎、円議員らは「促進法案」の趣旨について説明。浅野副大臣は「法案の趣旨はよく理解しているので立法府でよく論議いただきたい。立法府で決められればそれに従う」と答えた。

 【注】李さんが日本政府高官と面談したのは、矢野哲朗外務副大臣(02年6月)、細田博之官房長官(04年12月)に続き3度目。

米下院決議案 日本首相に謝罪声明要求

[朝鮮新報 2007.3.2]