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「慰安婦」問題 安倍首相は心から謝罪せよ 北海道の5団体が声明発表

 7日、松田平太郎・北海道宗教者平和協議会会長、山本玉樹・北海道在日朝鮮人の人権を守る会事務局長ら北海道の5団体代表が、「従軍慰安婦」問題に関連し、「安倍首相は、旧日本軍が強いた人類史上前例のない、反人類的、反人道的戦争犯罪である日本軍の『慰安婦問題』の真実を自ら明らかにし、心から謝罪し、直ちに保障せよ!」と題する声明を発表した。

 新聞報道によれば、安倍総理大臣は戦時、性的奴隷を強いられた「従軍慰安婦問題」について問われ、「強制性について、それを証明する証言や、裏付けるものはなかった。その定義が(狭義から広義に)変わったということを前提に考えなければならない(3月1日)」。「官憲が家の中にまで入って連れて行ったという強制性はなかった。米下院の決議案は、客観的な事実に基づいていない。決議があったから謝罪をするものではない(3月5日参議院予算委員会)」(毎日新聞3月6日付)と述べた。そして「河野談話」見直しの意図を明らかにした。この安倍総理の発言に続いて、自民党の中川昭一政調会長は「河野談話に限らず不磨の大典はない」とまで断言した。

 声明は、「河野談話を擁護し、それを抹殺するいかなる策動にも反対する」と指摘し、日本政府が歴史と誠実に向き合い、善隣友好、非戦平和の道を歩むことを主権者の良心の名において厳重に要求すると強調した。

「性奴隷」強制の事実を明らかにせよ 北海道の5団体の声明全文

 新聞報道によれば、安倍総理大臣は戦時、性的奴隷を強いられた「従軍慰安婦問題」について問われ、「強制性について、それを証明する証言や、裏付けるものはなかった。その定義が(狭義から広義に)変わったということを前提に考えなければならない(07年3月1日)」「官憲が家の中にまで入って連れて行ったという強制性はなかった。米下院の決議案は、客観的な事実に基づいていない。決議があったから謝罪をするものではない(07年3月5日参議院予算委員会)」(毎日新聞07年3月6日付)と述べた。そして「河野談話」見直しの意図を明らかにした。この安倍総理の発言に続いて、自民党の中川昭一政調会長は「河野談話に限らず不磨の大典はない」とまで断言した。

 これは、歴史の事実をわい曲し、戦時日本軍によって性的奴隷を強いられ、人間の尊厳と人格を蹂躙されたコリア、中国などの全ての女性に対する最も許しがたい冒涜であると言わねばなりません。1990年6月6日参議院予算委員会において、旧社会党の本岡昭次議員(当時)が、国会で初めて「慰安婦問題」について質問しました。日本政府の答弁は「民間の業者が連れて歩いたもので、軍、政府は関与していない」(琴秉洞著・「従軍慰安婦極秘資料集」)というものでした。

 このニュースを聞いた韓国在住の金学順さんが、1991年「日本政府は嘘をついている」と初めて名乗り出て、日本政府を相手に損害賠償を求めて提訴しました。こうして「慰安婦制度」という重大な人権侵害制度が初めて明るみになったのです。さらに、吉見義明教授が防衛研究所図書館で旧軍の関与を明白に示す文書を発見しました。ついに日本政府は、1993年8月4日、河野洋平官房長官(当時)談話で、公式に旧日本軍の関与を認め「本人たちの意思に反して行われた」と、強制性を認める談話を発表し、お詫びと反省の意を表明したのです(出典=「置き去りにされた朝鮮人『慰安婦』」wam)。

 朝鮮人女性をはじめ、約20万人の女性が日本軍によって性的奴隷を強いられました。しかし、この日本軍の蛮行の実態は調べられることはなく、罰せられることもありませんでした。ニュールンベルグ裁判、東京裁判、そしてラッセル法廷でも、最も弱い立場のジェンダーの視点がなく、戦時、性暴力を強いた戦争犯罪を裁くことがありませんでした。人間の尊厳をかけた韓国の金学順さんの勇気ある告発と、その闘いに目覚めた加害国、被害国の良心が起こって、人類史上初めて、「女性国際戦犯法廷」(2001年12月8日)が開かれたのです。

 NHKは放送法によって、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保する」(放送法第一条目的)使命を帯びた公共放送です。当然にも、戦時日本軍の性暴力を裁きました。この歴史的な「女性国際戦犯法廷の真実」を放送すべきであった。しかしNHKは、放送前に安倍晋三氏に編集テープを見せ、「政治家発言を受け(政治家の意図を忖度し)、内容を改変した」(07年1月29日「従軍慰安婦」番組訴訟東京高裁判決)のでした。

 番組に対する政治家の介入は、まさに『検閲行為』であり、憲法が保障する「表現の自由」に対する重大なる違法行為であると言わねばなりません。

 安倍首相は、中川昭一氏と共に「新しい教科書をつくる会」の主要メンバーです。彼らは、日本の侵略戦争を「民族解放戦争」と強弁し、侵略戦争の反省を「自虐史観」だと攻撃しています。しかし、どのように歴史的事実をわい曲しても、朝鮮、中国などアジアの女性に性奴隷を強いた「戦時性暴力の戦争犯罪」を消し去ることはできません。安倍首相は、首相就任時、性奴隷の強制を認めた「河野談話を引き継ぐ」と述べていました。しかし、その強制に「広義」と「狭義」があると強弁し、事実上「河野談話」を葬り去ろうとしています。

 一、私たちは「河野談話」を擁護し、それを抹殺するいかなる策動にも反対します。安倍首相は、旧日本軍が行った「人類の歴史上前例のない反人類的、反人道的戦争犯罪である『性奴隷』強制の事実を自ら明らかにし、誠実に謝罪し、直ちに保障せよ」と強く要求します。

 一、そして、日本政府が歴史へ誠実に向き合い、善隣友好、非戦平和の道を歩むことを主権者の良心の名において厳重に要求します。

 一、アメリカ下院は、2007年1月31日「日本政府は、1930年代から第二次大戦継続中のアジアと太平洋諸島の植民地支配及び戦時占領の期間において、世界に「慰安婦」として知られるようになった若い女性たちに対し、日本軍が性奴隷制を強制したことについて、明確かつ曖昧でない形で歴史的責任を正式に認め、謝罪し、受け入れるべきであるとする下院の認識を表明する。」決議案を上程しました。日本政府こそ、率先してこのような決議を採択し実行すべきです。以上声明する。

 北海道宗教者平和協議会会長 松田平太郎
 北海道キリスト者平和の会会長 斉藤成二
 日本キリスト教団牧師 山本光一
 札幌地区カトリック正義と平和委員会会長 石田国夫
 北海道在日朝鮮人の人権を守る会事務局長 山本玉樹

[朝鮮新報 2007.3.20]