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「従軍慰安婦」問題 米が安倍政権に圧力、「犯罪認め責任ある態度を」

 「従軍慰安婦」問題と関連し、日本軍の関与を否定する安倍首相の発言(3月1日)以降、これを非難する国際的圧力が強まっている。

米国務省が主張

南朝鮮の日本大使館前で抗議活動を行う被害者ら(3月21日、「日本政府の日本軍『慰安婦』強制連行否認に対する汎市民糾弾集会」)

 日本政府は3月16日、93年の「河野洋平官房長官談話」について「(談話と)同日の調査結果の発表までに政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述も見当たらなかった」とする答弁書を閣議決定した。

 これに対し、「慰安婦」問題をはじめとする日本の過去清算問題は当事国同士で解決する事案であるとの立場をとってきた米国務省のトム・ケイシー副スポークスマンは3月26日、定例ブリーフィングで従来の立場を変更し、「日本は犯罪の重大性を認め責任ある態度で対処すること」を求めた。米国務省当局者がこのような発言をすることは異例だ。

 また、安倍発言当時訪日していたジョン・ネグロポンテ国務副長官は3月2日、「慰安婦」問題発言について「嘆かわしいこと」(フィナンシャル・タイムズ3月3日付)だと述べた。

 本紙既報のように、トーマス・シーファー駐日米国大使は3月9日、米下院に提出されている「従軍慰安婦」問題決議案と関連して、「この問題の米国での影響を過小評価するのは誤りだ」「河野官房長官談話から後退すれば破壊的な影響を与える」と述べた。さらにニューヨーク・タイムズによると同大使は3月16日、米下院外交委員会の公聴会(2月15日)で証言した「慰安婦」被害者について、「彼女らは売春を強制されたと思う。旧日本軍に強姦されたということだ」と指摘した。

米有力紙も非難

 「慰安婦」問題の責任の認定回避と「河野談話」を継承するという矛盾した発言を繰り返す安倍首相は国際的な批判をかわすかのように3月26日、再び「河野談話」を継承し、被害者に対しておわびをしてきたと釈明した。

 しかし、米国の有力紙は本音を見抜くかのように非難の声を強めた。

 ニューヨーク・タイムズは3月28日、「安倍首相は『慰安婦』問題について謝罪するとしながらも、日本政府の役割は否認している」「拉致被害者のおかげで人気を集めた首相が、『慰安婦』動員の強制性を否認したのは偽善」だと指摘した。

 ウォールストリート・ジャーナルも3月28日付社説で、安倍首相の発言が東アジア諸国を激怒させたとしながら、「米国でも日本を非難する世論が広がっている」と強調した。

 これに先立ち、ワシントン・ポスト3月24日付は「安倍首相が第2次世界大戦時、多くの女性を拉致、強姦、性奴隷にした責任を軽くしようとすることは異常で不快なこと」だと非難している。

増える共同提案者

 4月末の初訪米を控え、火消しに追われる安倍首相は3日、ブッシュ米大統領と電話で会談、「河野談話」を継承していく日本政府の方針を説明したという。

 しかし、1月末に米下院に提出された「従軍慰安婦決議案」は、当初6人だった共同提案者が77人(2日現在)に。先月9日以降30人以上も増えている。

 決議案代表提出者のマイク・ホンダ議員(民主党)は、安倍首相訪米までは新たな動きは控えるとしており、採択は5月以降になる見通しだ。

 一方、「河野談話」発表の当事者である河野洋平衆院議長、村山富市元首相(95年に「村山談話」を発表)はそれぞれ、「談話は信念をもって発表した」(河野衆院議長、3月15日)、「軍が関与して慰安所を設置、監督したのはまちがいない。そのかぎりにおいては政府の責任はある」(村山元首相、3月19日)と述べ、安倍政権の対応を暗に批判した。(呉陽希記者)

[朝鮮新報 2007.4.9]