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〈論調〉 「拉致問題」提起する安倍政権の狙い

 日本が「拉致問題」にいっそう躍起になって取り組んでいる。首相の安倍をはじめとする多くの閣僚が「拉致問題」を解決すると青筋を立てて、ああだこうだと騒ぎ立てている。

 「拉致問題」について言えば、それはもはや存在しない問題である。現安倍政権がこの事実を知らないはずはない。にもかかわらず、彼らは「拉致問題」を執ように取り上げている。

 彼らが「拉致問題」に躍起になって取り組む下心は明白である。

 安倍内閣は事実上、「拉致問題」に政治生命をかけている哀れな政権である。昨年の選挙公約時に「拉致問題」の解決を大げさにけん伝したおかげで少なからぬ支持票をかき集めて政権の座を占めた安倍勢力は、政権を執った時から今まで国民が期待できるほどの政策を一つも打ち出せなかった。このため、彼らは日増しに深刻な政治的危機に陥っている。政権支持率が急激に落ちることに不安を覚えている彼らは、その活路をほかならぬ「拉致問題」に求めようとしている。「拉致問題」にかこつけて前例のない反朝鮮攻勢に出ることによって、国民の不満を静め、彼らの歓心を買おうとするのが安倍内閣の狙う目的の一つである。

 安倍内閣が狙うさらに重要な目的は、「拉致問題」にかこつけて過去の清算を回避するところにある。

 日本と言えば、かつてわが国をはじめとするアジア諸国を侵略し、血なまぐさい殺りく蛮行と平和破壊犯罪を行った戦犯国である。とくに、日帝が官権と軍権を発動して20万人の朝鮮女性をはじめ数多くの国の女性を強制連行して「皇軍」の性奴隷にした罪過は、人間の頭脳ではとうてい想像だにできない世界最悪の人権蹂躙行為である。日本軍「慰安婦」犯罪は、未曾有の特大型事件として、幾人かの「拉致問題」とは比べようもないものである。

 安倍内閣が「拉致問題」に躍起になって取り組む裏には、日本軍「慰安婦」犯罪をはじめ血なまぐさい過去史をわい曲、否定することにより、過去の清算を回避しようとする犯罪的企図が隠されている。その一方で、「拉致問題」を掲げて国際的孤立と窮地から脱しようとしている。

 日本軍「慰安婦」犯罪を否定しようとする安倍内閣の卑劣な策動は、国際社会の大きな憤怒をかきたてている。日本の同盟国という国々も政府の立場として日本執権勢力の日本軍「慰安婦」犯罪否定行為を非難している。

 日帝が過去に働いた大犯罪を覆い隠そうとすればするほど、日本の政治的危機はより深まり、さらなる国際的孤立だけをもたらすであろう。

 日本は、日本軍「慰安婦」問題をはじめ過去の罪悪を率直に認めて清算する道に進むべきである。(労働新聞10日付論評)

[朝鮮新報 2007.4.21]