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朝鮮の論調 7月

 「BDA」問題の解決を受けてスタートした7月。第6回6者会談第1ラウンド(3月19〜22日)以来、約4カ月ぶりに6者団長会談が実現した(18〜20日)。報道発表文には「2.13合意」を引き続き履行していくことや「行動対行動」原則の再確認などが謳われた。5つの実務グループによる会議を8月末まで開くことが決まり、6者外相会談の早期開催も提案された。また、朝鮮戦争当事国による4者会談開催の動きが報じられるなど、情勢は急転の兆しを見せ始めている。

−対米 核兵器への警戒目立つ

 核兵器関連の配信が目立った。

 ▼「核万能意識は時代錯誤的だ」(3日)、▼「対話と戦争は両立しない」(4日)、▼「新たな冷戦と核戦争をもたらす主犯」(10日)、▼「米国は南朝鮮に核がないことを証明すべき」(14日)、▼「絶対に隠せない核犯人の正体−侵攻意思なしの証明必要」(18日)、▼「破廉恥な核専横」(25日)−といった内容が配信された。

 一貫しているのは、「米国こそ核保有の超大国であり、世界平和に対する最大脅威である」との主張だ。朝鮮半島におけるこんにちの核問題を発生させた張本人は米国だ、とあらためて断罪している。

 また、南朝鮮に核がないことを証明しろ、としたのも痛烈な皮肉だろう。

 米国は「9.19」共同声明の中で、南朝鮮に核兵器は存在せず、朝鮮を攻撃する意思もないことを明確にしているからだ。米軍による南朝鮮への核兵器配備は、もはや公然の秘密になっている。一説には、その数1000発以上とも。

 13日には、朝鮮人民軍板門店代表部が談話を発表し、「朝鮮半島の平和と安全保障に関連した問題」を討議するため、「国連代表も交えた朝米軍部間の会談を提案する」とした。

 朝鮮戦争当事国による4者会談開催の動きと無縁ではないだろう。「停戦協定から平和協定へ」という流れが本腰を入れて論じられつつある。

 談話は最後のくだりで、「機会というのは、逃すことは容易くても、得ることは難しい」と結んでいる。

 15日には、外務省が寧辺核施設の稼働中止を公式に発表した。その中で、「合意にそって重油5万トンのうちの最初の配分が到着した14日に寧辺核施設の稼働を中止し、国際原子力機関の監視を許可した」としている。

 また、「重油5万トンが(全て)提供された時点で核施設の稼働を中止することになっていることを念頭に置いた場合、われわれは約束を前倒しして履行したことになり、これは合意履行に対するわれわれの信義の表れだ」と指摘し、「2.13合意」の完全履行は、米日による対朝鮮敵視政策の解除にかかっていると主張した。

−対日 逆麟に触れた総連弾圧

 一日平均1.5回のペースで配信された。異常、と言っていい。

 原因は、一向に収まる気配のない総連弾圧だ。

 まず1日、「安倍一味による総連弾圧に対し必要な措置をとるであろう」と題した朝鮮外務省代弁人声明が発表された。

 声明では、総連に対する弾圧を「朝鮮への凶悪な主権侵害行為」と糾弾し、「当該部門では必要な措置を取るようになるであろう」と警告した。

 これを皮切りに、▼「総連弾圧に抗議する平壌市群衆集会開催」(10日)、▼「総連弾圧策動は高い代償を払うことになるだろう−朝鮮中央通信社詳報」(10日)、▼「総連弾圧糾弾−元山市群衆集会」(11日)、▼「総連弾圧糾弾−韓徳銖平壌軽工業大学集会」−と配信が続いた。

 日本をここまで「名指し批判」した反日集会は、異例のことだ。「総連中央会館強奪」という「禁忌」に触れたツケは大きい。

 さらには、「安倍一味の『拉致』騒動は自滅だけを招くであろう」と題した長文の外務省備忘録も発表された(19日)。

 また、国連朝鮮代表が、国連総会で総連弾圧を議題として取り上げるよう事務総長あてに手紙を送ったことにも言及している。

 参院選での大惨敗を受けて内閣の「人心一新」を唱えている安倍首相。「麻生幹事長」の誕生がほぼ確実視されている中、次の外相に誰を任命するのか。6者プロセスが順調に運べば、9月早々にも、6者外相会談が予定されている。

−対南 全体的に言及少なく

 今年に入ってから最も少なかった。数字統計で言えば、8回しか配信されていない。第6回北南将官級軍事会談に少し言及した程度だった。

 執拗に繰り返されていたハンナラ党批判も、完全に鎮静化。同党の大統領候補選出に合わせて、トーンを落としたのかもしれない。

 8月に入ってからも、低調な配信傾向は依然、継続している。

 6者団長会談の直前、金桂官次官とヒル国務次官補は、北京の両国大使館を往来しながら3回にわたって2国間協議を行った。

 6者団長会談を現地取材した本紙平壌特派員の話によると、関係者の間には「2プラス4(朝米とその他)」という雰囲気が、以前にもまして色濃く漂っていたと言う。

 朝米2国間に何らかの信頼関係が醸成されつつあるとの見方は、はたして穿った憶測なのか。

 7月は、ほかにも6者関係国によるさまざまな動きが見られた。

 2〜4日、朴宜春外相の招きで中国の楊潔箎外相一行が平壌を訪問。金正日総書記と3日に会見を行った。今秋には朝鮮側が中国を答礼訪問するだろうとも伝えられた。

 朝鮮戦争当事国による4者会談の動きも浮上した。平和協定構築への動きも活発化の様相を呈している。8月に入ってからは、北南首脳会談に向けた水面下での動きも報じられた。

 「失われた時間を取り戻す」というヒル国務次官補の言葉を借りれば、事態は確実に進展していると言えるだろう。

 …と、このように整理していけば、日本の名前がどこにも出てこないことに気付く。いよいよ本格的に蚊帳の外か。

 このままだと、追い詰められた鼠が猫の手を噛むかもしれない。

 もっとも、鼠に噛む力があればの話だが。(まとめ=韓昌健記者)

[朝鮮新報 2007.8.22]