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非核化第2段階措置 年内の履行期限迫る

合意履行に向け詰めの作業

 【平壌発=金志永記者】第6回6者会談第2ラウンドで合意された9.19共同声明履行の2段階措置の履行期限である12月31日が迫っている。現在まで合意履行のプロセスは比較的順調に推進されている。

朝米間の金融問題論議

 朝鮮は6者会談合意に従って寧辺にある核施設の無力化作業を進めている。一方で米国も朝鮮を「テロ支援国」リストから削除する準備を行っていると伝えられている。

 敵対関係解消に向けた朝米間の合意と行動が6者会談の全般的な進展過程において決定的要因として作用するということは、過去の実例を見ても明らかだ。

 6者会談合意の履行と並行して、朝米はニューヨークで金融実務会議(11月19、20日)を開いた。会議では、朝鮮の正常な国際金融活動を保障する問題が論議されたと思われる。

 金融問題に関する朝米協議について言えば、今年6月、クリストファー・ヒル国務次官補の平壌訪問を機に内外に公表された双方の合意事項だ。6者会談の進展を妨げてきた「バンコ・デルタ・アジア(BDA)」の凍結資金問題の解決を前に、6者会談の団長である金桂官外務次官とヒル次官補は平壌で会い、凍結資金問題を完全に解決し、「今後、金融取引分野で協力を強化していくための方法」を討議した(6月25日、朝鮮外務省スポークスマン)。

 米国の対朝鮮孤立圧殺政策は、軍事面とともに経済面でも貫徹されてきた。

 金融問題に関する朝米間の論議の本質は「不法金融活動の根絶」ではなく、「経済分野での朝米対立解消」にあると言える。

6者プロセスの進ちょく

 BDAの凍結資金解除問題は、金融に関する技術的な問題ではなく、朝米敵対関係の解消に関する米国の政治的決断の問題として浮彫りになった。ブッシュ政権が解決に向けた必要な行動を躊躇したことで、9.19共同声明履行のための初期段階措置は当初合意された期限内に履行されなかった。

 専門家らが参加して行われた朝米金融会議では、主に技術面での協議が行われたと報じられている。経済分野での敵対関係解消に向けた論議を次段階へ移行させる条件が準備されつつあるとの判断が働いていると思われる。政治的決断に関する作業は他方面で進行中だ。米国は6者会談合意に従い、12月31日まで「テロ支援国」リスト削除や「敵性国通商法」適用終了など、朝鮮を敵視する法的、制度的装置を除去する措置を講じることになっている。

 一方で、朝鮮側の義務である核施設の無力化と核計画の申告作業が、第2段階措置の期限内履行における「変数」になるとする見解がある。申告過程における朝鮮側の「隠蔽」を憂慮するものだが、これは朝鮮が実際は非核化を快く思っておらず、したがっていつでも会談にブレーキをかける可能性があるという分析に基づいている。

 これは事実とまったく異なる。BDA問題の解決後、朝鮮は自国の義務を約束されたスケジュールより繰り上げて履行した。6者会談のプロセスを早く進めることが有益だと朝鮮側が判断している証拠だ。

 朝鮮側の政策は、6者会談10.3合意がタイムテーブルに従って正確に履行され、第2段階措置が年末まで終了することを前提に策定されたと考えるべきだろう。

「行動対行動」の原則

 もちろん朝鮮側が6者会談の進展速度を重視するからといって、「行動対行動」の原則を曲げることはないだろう。10.3合意は朝鮮だけでなく、すべての会談参加国が履行すべき義務だ。朝鮮側は当然、自らと敵対関係にある米国と日本の行動を注視している。

 10.3合意には、「平壌宣言に基づいた朝・日国交正常化」「集中的な協議」「目的達成のための具体的な行動措置」という表現がある。しかし今までのところ、日本の対朝鮮政策に肯定的な変化は見えない。

 会談参加国の義務不履行は、第2段階措置の履行過程の「変数」として作用する。約束された政治、経済的補償措置が取られない場合、朝鮮側の行動にもブレーキがかかるしかない。

 米国は、朝鮮側核施設の年内無力化に相応する一連の政治的措置を講じる義務がある。また日本を含む5者は、現在進行中の重油100万トンに相当する経済的補償を朝鮮に対して完了させることになっている。

 決められたスケジュールどおりに第2段階措置が履行されれば、来年は朝鮮半島と東北アジア情勢の「激動」が予想される。

 12月の6者団長会談開催も日程に上っている。全ての参加国が自国の義務履行に向けた「仕上げ作業」を行っていくべき時だ。 

[朝鮮新報 2007.11.30]