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劉暁明・駐朝中国大使 金日成総合大学で講演

伝統継承と未来志向 中朝親善の過去、現在、未来

 劉暁明・駐朝中国大使は11月26日、朝鮮側の招請で金日成総合大学を訪問し、同校の教員、学生を対象に特別講演を行った。劉大使は同校の成自立総長と会見し、大学側にコンピュータと図書を寄贈した。一方、成自立総長を団長とする同校代表団が中国訪問のため3日、平壌を出発した。劉暁明大使の講演内容のうち、朝中関係に関する部分を要約して紹介する。

 今日、金正日総書記の母校である金日成総合大学を訪問し、同校の教員、学生と席をともにできることをうれしく思う。

 金日成総合大学は中朝親善の証言者、促進者として中国側と深い縁を結んできた。創立から現在まで同校は中国のために600余人の優秀な人材を育て上げ、今も40人近い中国留学生が学んでいる。同校を卒業した留学生は中国共産党と政府、軍、商業界、学界などさまざまな分野で活躍し、中朝親善の架け橋になっている。そのうちの一部は重要な指導的ポストに就いている。近頃開かれた中国共産党第17回大会で党中央委員会政治局委員に再選された広東省の張徳江書記は、同校経済学部を1980年に卒業した。同校は中国の北京大学や延辺大学などの有名校と親善関係を結ぶなど、相互交流と協力は非常に大きな成果を挙げている。

悠久の歴史

講演をする劉暁明大使

 中国の発展は安定した周辺環境と分けて考えることはできない。中国は冷戦構造から脱し調和の取れた東北アジアの建設を推進するために努力を傾け、朝鮮半島の自主的平和統一の実現を歓迎する。伝統継承、未来志向の中朝親善協力関係は、両国人民の根本利益に符合するのみならず、東北アジア地域、ひいては世界の平和と安定に有益だ。

 中朝親善の歴史は悠久であり、両国関係の土台はしっかりしている。近代以降、中朝の指導者と革命の先達は民族の独立と国家の発展のために互いに支えあい、ともに奮闘し、流血と砲火の試練の中で中朝親善を作り上げ、真心を込めてそれを育てた。

 新世紀に入り、中朝関係は新たな始発点に立つことになった。両国の指導者は過去を継承し、道を切り開き、遠い未来を見通しながら、伝統的な中朝親善協力関係の発展に関して密接な意思疎通を維持し、さまざまな重要な認識を共有し、「伝統継承、未来志向、善隣友好、協調強化」という「16字方針」を確定した。金正日総書記は4回にわたって訪中し、江沢民総書記と胡錦涛総書記もそれぞれ訪朝した。両国指導者の温かい関心と直接的な指導は、中朝関係の発展に絶え間ない政治的推進力をもたらしている。

今年の中朝関係

 今年、中朝関係はさまざまな分野で新たに重要な進展があった。政治面では、高位級の相互往来を維持することで、双方の政治的関係はいっそう強まった。胡錦涛総書記は金正日総書記に3回にわたって重要な口頭親書を伝えた。楊潔箎外交部長も就任後初の外国訪問先に朝鮮を選んだ。一方、中国共産党中央委員会は第17回党大会終了直後、政治局委員である劉雲山書記を朝鮮に派遣した。これは党の新指導部が伝統的な中朝親善を高度に重視し、今後も関係発展のために努力を傾けていく姿勢を示したものだ。金正日総書記も両国間の交流と協力の発展について重要な指示をいくつも下し、劉書記と楊外交部長を温かく迎えた。また、総書記は今年の小正月に際し駐朝中国大使館を訪れ、大使館員らとともに過ごした。

 経済、貿易面でも新たな進展があった。9月までの貿易額は14.4億ドルを記録し、昨年同時期より16.6%増加した。中国側は8月まで77の対朝鮮投資案件を批准し、総額は3.8億ドルに達した。中朝経済貿易および科学技術共同委員会の会議は順調に開かれており、さまざまな協力事業に関する実質的な協議を行っている。中国側が支援している大安親善ガラス工場の稼働状況は良好で、朝鮮国内の経済建設に有益な製品を提供している。

 また、今年朝鮮がこうむった甚大な洪水被害と関連して、胡錦涛総書記は金正日総書記に慰問電を送り、朝鮮側に多くの救護物資を送った。

 文化、教育、スポーツなどの分野でも相互交流と協力は日ごとに活発になっている。今年初め、朝鮮では中国が金正日総書記に送った中国映画「暖かな春」の上映会を3000人規模で盛大に行った。一方の中国側も「4月の春」親善芸術祝典に代表団を積極的に送った。朝鮮中央テレビは中国の優れた芸術作品を多数放映した。朝鮮サーカス団は中国で開かれた国際サーカス祭典で最高賞の「金獅子賞」を獲得した。朝鮮の大学生は中国で行われた中国語スピーチ大会で各国の代表を抑え優勝した。

 両国は国際舞台でも互いを支持している。朝鮮側は一つの中国政策を堅持し、台湾当局の「独立」分裂活動に反対するなど、台湾問題で中国側に対する確固たる支持を表明している。また両国は国連の舞台でも密接な協力を維持しており、朝鮮側は国際機構の選挙で中国の候補者に多大な支持を与えてくれた。中国側は北南朝鮮間の対話の強化と平和統一の実現に関する決議案の採択を支持する一方、対朝鮮人権決議に強く反対した。双方は6者会談の進展をともに積極的に推進し、地域の平和と安定に重要な寄与をするなど、地域問題でも密接に協力している。

未来に向けて

 中朝関係の発展は伝統に立脚しながら同時に、未来志向でなくてはならない。中朝の共同利益を守り拡大させていくために、時代とともに前進し、両国関係を絶え間なく深め、その内容を豊富なものにしていくべきだ。

 第1に、中国と朝鮮は互いに共通の歴史的使命を持っている。双方はともに近代において外部勢力の侵略を受けた後、人民革命で新国家を樹立した。現在は自国の実情に合った社会主義の道を模索し、富強国家を建設し人民を裕福にする義務を負っており、祖国統一の実現という歴史的な使命がある。

 第2に、経済協力を強化するうえで非常に大きな潜在力を持っている。互いに地理的に近く交通が便利で、相手側に対する需要が存在するという有利な条件がある。両者の経済貿易協力は中朝関係をより実質的に発展させるだけでなく、互いの国内発展を促進するのにも有益だ。中国は自身の経済発展を目指すことで13億の人民に利益をもたらすだけでなく、朝鮮を含め周辺諸国に対し広大な市場を提供している。同じように、朝鮮は自身の発展の道を模索し対外経済協力を絶え間なく発展させることで、多数の中国企業が朝鮮で投資活動を行うことを可能にしている。両国の経済貿易活動は従来の記録を更新し続けており、協力の規模と範囲も絶え間なく拡大している。

 第3に、東方の文明の国としての類似した歴史的伝統と文化的継承がある。中朝修交後すぐに「文化協力に関する協定」が締結されたことで、さまざまな交流と協力が進み、両国の文化発展が促進され親善が深まった。朝鮮の歌劇と映画「花を売る乙女」「ピパダ(血の海)」「花咲く村」などは中国で広く知られており、中国の第1世代に大きな影響を及ぼした。中国の文学作品や映画も朝鮮のテレビで放映され、人びとに広く愛された。両国間の文化交流は近年、内容がより豊富になっている。今年だけでも文化、教育、スポーツ代表団の相互訪問は70回、650人におよぶ。来年、「花を売る乙女」は現在建設中の中国国家大劇場で上演される予定だ。教育分野でも、毎年350人の朝鮮国費留学生が中国で学んでいる。朝鮮で中国語学習ブームが起きており、中国でも朝鮮語を学ぶ人びとが増えている。50を超す大学に朝鮮語講座が設置され5000人の学生が学んでいる。また、来年中国では北京五輪がある。平壌は聖火リレーの大事な中継地の1つだ。双方のオリンピック委員会は平壌での聖火リレー行事を成功させるために互いに協力するだろう。

 第4に、地域の平和と安定を維持するうえで一致した目標を持っている。中国は北南和解を支持し、朝鮮と米国をはじめとする西側諸国との関係改善を支持し、朝鮮側がこれらの実現に向けた環境を醸成するために傾けた努力を支持する。6者会談を進展させ、朝鮮半島の非核化と関係国間の国交正常化を実現し、朝鮮戦争停戦協定を平和協定に転換させ、東北アジア地域の安全協力体制を樹立し、調和に満ちた東北アジアを建設することは中朝両国の根本利益に適うものであり、両国がともに努力すべき目標だ。

 第5に、国際問題において多くの共通した主張を持っている。すべての国はその大小や強弱、貧富に関わらず平等であり、誰も他国の内政に干渉してはならず、自らの意志を他者に強制してはならないということは中国と朝鮮がともに堅持している立場だ。中国と朝鮮は覇権主義と強権政治に断固反対し、国際紛争や人びとの関心を集める問題を平和的な方法で解決することに力を傾けてきた。

若い世代に期待

 情勢がいかに変わろうとも、中朝親善は試練に打ち勝ちながら強固になっていくだろう。未来を志向し、時代とともに前進し、中朝親善協力関係の戦略的な内容を豊富にしていくことは、時代がわれわれに与えた使命だ。中国共産党と政府は朝鮮労働党、政府と互いに手をつなぎ、21世紀の中朝親善協力関係を絶え間なく深め、地域の恒久的な平和と共同の繁栄を目指し、平和かつ安定的で繁栄する調和のとれた東北アジアを建設するため、ともに努力を傾けていくだろう。

 金日成総合大学の学生たちは朝鮮の青年の中でも飛びぬけた人材であり、国を建設する柱であり、中朝親善関係の希望と未来を背負っている存在だ。金正日総書記は最近、中国の代表と会った席で、若い世代が朝中親善の歴史をよく知るべきであり、老世代が作り上げた朝中親善を代を継いで伝えていかなければならないと何度も強調した。両国の青年たちには一生懸命勉強して競い合ってもらいたい。交流を強化し、互いに激励し助け合い、親善を深め、伝統的な中朝親善が若い世代の中にしっかりと根を下ろし、より豊かな実を結び次世代に継承されていくことを確信している。(まとめ=李相英記者)

[朝鮮新報 2007.12.7]