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くらしの周辺−花粉症の季節

 新宿駅のとあるブースで東京都が「花粉の少ない森づくり募金」なるものを展開していた。重度の花粉症である私は足を止める。トップの大号令で始まったこのキャンペーン、ポスターの「トップ」モデルはさておき、歓迎すべき内容だ。私はあらゆる症状が出るため、マスク、目薬、治療薬などを頻繁に使っている。いわゆる対症療法(各症状を抑えること)である。ちなみに根治療法(病気そのものの治癒を目指す)はまだ開発されていない。

 考えてみれば、くしゃみ、鼻水や涙が止まらないといった花粉が体内に侵入したことに対する体の反応は、まあ言ってしまえば「体らしい」反応だ。体はきっと「ダメなものはダメ、違うものは違う」とでも言いたいのであろう。それにマスクをつければ花粉が入ってこない代わりに、話しづらい。とはいえ、マスクをして、薬を服用すれば確かに少しの間は楽になれる。が、しかし、大量の薬を服用しても、花粉症が治るわけではない。

 考えれば全国の自然林を次々と伐採し、花粉症の主原因とされるスギ・ヒノキを植林した結果、多くの花粉が飛び、かくも住みにくい「社会」になった。薬で「体らしさ」を無理に抑え、マスクをする。そして何ともないフリをする。花粉症が治ることは、こんなことでない。私を生きにくくさせる根を断たなければ。

 よーし、自分らしく生きるためにこの「社会」を変えよう。まずはマスクを取って…。

 「ハックション!」 いけね、ポスターに鼻水が…。まあいいか。少しは気分が晴れたし、鼻の通りもいい。あらら、新宿の空気はこんなにおいしかったか な? (金範重、法人職員)

[朝鮮新報 2007.2.3]