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〈2月−保健だより−〉 「いじめについて考えよう」

 最近、日本社会でいじめによる悲しい事件が増えています。ここで、いじめとは何か?について考えるヒントを探してください。

いじめの定義

 「同一集団内の相互作用過程において優位にたつ一方が、意識的に、あるいは集合的に、他方に対して精神的、身体的苦痛をあたえること」(森田洋司・清永賢二「新訂版いじめ」金子書房、1994年による定義)

「いじめ」認識のまちがい

−「いじめは昔からある」

 現在のいじめのように悪質、長期的なものではなく、またいじめられた子どもをかばう子どもがいたといわれています。

−「いじめは子どものけんかにすぎない」

 けんかは力が対等な子どもの間に起こる争いですが、いじめは優勢な立場にある子どもが劣勢な立場にある子どもに対して、しばしば多数対一人(または少数)で行うものです。

−「いじめられる子どもにも問題がある」

 いじめられる子どもは、何も悪いことをしていないのにいじめのターゲットになってしまった被害者です。性格などに、いじめられやすい特徴があったとしても、その子どもの個性であり、問題点ではありません。欠点はどの子どもにもあります。

−いじめられた子どもは「強くなるべきだ」

 子どもは自分に非があると責められたと感じて、心を閉ざしてしまいがちです。親が子どもと一緒に対処方法を考えるべきだと思われます。

−「いじめは日本特有の現象である」

 いじめは日本だけの現象ではなく、欧米諸国ではどこでも問題となっています。

いじめの種類

−身体的ないじめ:なぐる、たたくなどの暴力

−言葉によるいじめ:悪意のあるからかい、悪口、噂を広める、傷つくようなメモを置く

−精神的ないじめ:仲間はずれ、物をとったり隠したりする、いやがらせ

−脅し:金品のたかり、被害者への口止めなど

いじめっ子の分析

−子どもの気質

 「いじめをする子どもたちは元気で活発で、エネルギーにあふれた子どもたちである場合がある。こういう子どもたちは、退屈したり、人をうらやましがったり、不安定になったりしやすいことが少なくない」

−家庭の影響

 ・放任された家庭
 ・攻撃的な家庭
 ・「何でもあり」の家庭

−「散発的いじめっ子」

 ・友だち、親、教師や兄弟姉妹に対して突然攻撃的になる
 ・衝動的に行動し、後悔する
 ・過ちから学ばない
 ・仕切りたがる
 ・体力がある
 ・口がよくまわる
 ・人を思いどおりにしたがる
 ・思いどおりにいかないときにかんしゃくを起こしたり、叫んだりなど
 ・自尊心が高い
 ・とことん甘やかされている

−「慢性的いじめっ子」

 ・攻撃的な態度でいることが多い
 ・自分をコントロールすることができない
 ・暴力を肯定的にとらえている
 ・乱暴である
 ・自分のやったことに責任をとろうとしない
 ・被害者にまったく共感しない
 ・侮辱されたと感じている
 ・親や兄弟姉妹からいじめられている
 ・ちゃんとやらなければならないというプレッシャーを受けている
 ・達成感を感じることがない

 (ノルウェー・ベルゲン大学のダン・オルウェーズ教授による分析)

いまいじめられているあなたへ

 つらかったですね。よくひとりでがんばってきましたね。でももうひとりで悩まないでください。両親はあなたの味方ですし、学校の先生は、いじめを解決しなければならないのです。きっと解決する方法がみつかります。

悪いのは、あなたではなく、いじめっ子です
 悪いのは、あなたの学校生活をつらいものにしてしまったいじめっ子です。いじめっ子はたまたまあなたをいじめのターゲットにしただけです。もし、あなたに直すべきところがあるとしても、直せばいいのだし、直すべきところは誰にでもあります。理由があってもなくてもいじめはしてはならないのです。

いじめっ子に何かされたり言われたりした時には
 やめて、と大きい声で言って、すぐその場を離れましょう。できるだけ無視しましょう。

いじめの記録を残しましょう
 いじめっ子が悪いのだということがはっきりとわかるように、されたり言われたりしたことを日記のような形で記録しておきましょう。

先生に相談しましょう
 いじめられていることを相談するのは、告げ口ではありません。担任の先生や、信頼できそうな先生に相談しましょう。もし先生が、あなたにも問題があるとか、いじめられるほうが悪いとか言ったなら、その先生の考えがまちがっています。家族に相談しましょう。

クラスが集団でいじめてきたら
 勇気を出して、一番優しそうなクラスメイトに手紙を書いて相談してみましょう。ほとんどのクラスメイトはいじめなんかしたくないのに、いじめっ子がこわいのであなたをかばえないだけだと思います。

自分らしく生きるために
 自分の本当の気持ちをいえなくなったり、周りに無理に合わせようとしたりして、生きづらくなっていませんか? 自分らしさを主張しながら、友だちとコミュニケーションするのには、コツがいります。

 (広島朝鮮初中高級学校 元養護教諭 徐千夏)

[朝鮮新報 2007.2.8]