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玄正善編著 「ウリ植物名の由来」 植物名の由来を幅広く収録

「こういう作業は私たちの世代でないとできない」と話す玄正善さん

 「朝鮮半島には約4000種(帰化植物や園芸種は除く)の植物が育ち、その一つひとつにはすべて名前がある。同姓同名が多い人名とは違い、植物の名前には、別名と方言を除くと、同じ名前はほとんどない」

 本書(A4版、246ページ)では、朝鮮半島に自生する植物と身の周りでよく見られる580種ほどの植物名の由来を幅広く解説している。

 出版したのは、東京・荒川商工会顧問の玄正善さん(80)。玄さんは解放前、済州島の農業学校に通っていた。日本に渡ってきたのは20歳の時、4.3事件前のことだった。渡日後は苦学をしながら日本の大学で応用化学を専攻した。民族教育を物心両面から支えてきた。ハナ信用組合の発起人の1人でもある。

 わが民族の科学技術、とくに植物学の統一的発展を望み、10年前から植物辞典の編集をはじめた。北と南の植物に関する資料を手探りで見比べながら、北南間で異なる植物の名前と分類をわかりやすくまとめ、02年に北南と日本語名、学術名を併記した「植物名辞典」(約4000語を網羅)を出版した。

 今回出版した「ウリ植物名の由来」には、580種の植物の名前を、学名、漢字名、英語名、日本語名で表記し、その特性と植物名の由来を豊富な資料を元に整理した。これには、「身近な植物の名前や由来から、在日同胞たちが植物と故郷に関心を寄せてくれたら」との願いが込められている。

 原稿、校正、出版、発送まですべて自力。5年間にわたる作業の途中、原稿の執筆による腱鞘炎にも悩まされた。作業の過程で、東京中高の国語の教師と東京第1初中教育会の職員が朝鮮語の校正とパソコン作業など協力してくれたのはうれしかったと話す。

 本書は全国の初、中、高級学校と朝鮮大学校、各研究機関に寄贈された。

 玄さんは、「今後は第2部(残り500種の植物名の由来を収録)を編集、出版するのに余生を捧げたい」と語った。非売品。問い合わせ=東京朝鮮第1初中級学校教育会(TEL 03・3891・4092)

[朝鮮新報 2007.3.2]