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くらしの周辺−統一寝台特急「ハナ」号?

 福岡からの出張の帰り、小倉駅から寝台特急「富士」に乗り込んだ。東京駅まで14時間の長旅だ。

 私は特定の趣味を持てない。のめり込んだり、長続きしない性分なのだろう。食に例えるならおいしいものはみんな好き、バイキングならとりあえず全種類を皿に盛るタイプだ(ちなみに妻もこのタイプ)。ともかく仕事と兼用できる趣味的なものとして寝台特急を選んだ。

 駅弁に干物、ワンカップ焼酎を買い込み列車に乗り込む。B寝台個室はカプセルホテルを2倍にした程の大きさで、座席兼ベット、折畳み式机、読書灯などが完備してある。何より列車上部の形状に沿うようにはめ込まれた天窓から流れる町の景色と夜空は格別だ。

 列車は各都市の駅に停車し、決して多くはない客を乗せて行く。ホームには見送りの人もいる。離れて暮らす親子、遠距離の恋人、親友同士、はたまた新幹線の最終に間に合わなかったサラリーマン。停車中、束の間の会話が聞こえてくる。

 思えば統一の道のりはよく列車に例えられる(確かに「統一フェリー」や「統一ジェット機」は何だかしっくりこない)。目的に向かって勇ましく走る姿のイメージからだろうか。もう一つ、統一を願う一人一人の思いをちゃんと乗せて行く姿もあるかなと思った。

 私の知るかぎり、現在は北南両国家とも寝台特急は正規には走っていない。輸送機関の発達にともなう時間短縮もあるだろうが、なにより分断された「国土」は狭すぎるのだ。しかし統一寝台特急「ハナ」号が走る日は遠くない…と、ほろ酔いの私は思うのであった。(金範重、法人職員)

[朝鮮新報 2007.3.2]