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〈本の紹介〉 千年、働いてきました

老舗と「最先端」の妙

 本書のネーミングからして渋い。「千年働いてきました−老舗企業大国ニッポン」。ウーン、何だか本を手に取ってみようかなという気にさせる。

 ページをめくるとホントにおもしろい。たとえば、「世界最古の企業」とされる大阪の金剛組は、ナント創業1400年以上の老舗。しかも、「エコノミスト」誌が創業者をコリアンと明記しているように、初代は、聖徳太子に招かれて、朝鮮半島の百済からやって来た3人の工匠のうちの一人だったという。日本書紀には「造寺工」と記されている。代々、難波の四天王寺の建築に携わり、「当時の最先端の工法を日本に根付かせる役割を担った」と本書は記しているのだ。そのほかにも、朝鮮半島からの渡来人によってそのルーツが始まる筆ペンやバックミラーや蚊取り線香、金箔などの商品や技術。それらが現代のケータイ、パソコン、デジカメ、テレビなどの最先端技術に生かされている、と聞くと俄然興味がわいてくるに違いない。期待を裏切らない一冊。(野村進著、角川oneテーマ21)(粉)

[朝鮮新報 2007.3.6]