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国際社会から糾弾される歪んだ歴史観 「従軍慰安婦」、強制連行否認する日本の政治家たち

「つまらない言い訳をするな」

 「従軍慰安婦」問題をめぐる安倍首相の暴言。本紙で紹介したように、米紙ニューヨークタイムズは6日付社説で、「恥ずべき過去を克服する第一歩は、それを事実と認めることだ」と、強く批判した。さらに、シーファー駐日米大使は16日、米下院外交委公聴会で証言した3人の元「従軍慰安婦」について、「彼女らは売春を強制されたと思う。旧日本軍に強姦されたということだ」と在京の欧米メディアの記者団に語った。大使は「私は証言した女性の言葉を信じる」と指摘、「そういうことが起きたのは残念で、痛ましいことだ」とも述べ、売春の強制は「自明の理」だと語ったという。さらにオランダ外相も同国駐在の日本大使を呼んで「強制連行はなかった」という安倍発言に対し、強い憂慮と不快感を伝え、先日来日した豪のハワード首相も日本政府に「つまらない言い訳をするな」と一喝したことが伝えられている。

繰り返す過ち

「女性セブン」も特集を組んだ日本の政治家たちの呆れた暴言の数々

 自らの過ちをやっきになって否認する日本の政治家たちに対して、アジア諸国はもとより欧米の政治家、世論まで呆れ、怒り、非難を強めている。

 しかし、振り返ればこの国の政治家たちは、昔から同じ過ちを繰り返してきた。なぜ、政治家たちは過去に学ばないのか。

 近年、日本の新聞はじめ各メディアもそれらの暴言を黙認、あるいは同調し、彼らと共犯関係を築いてきた。

 その中にあって、週刊誌「女性セブン」(3月29日号)が「あ然呆然 政治家たちの暴言史」と題する特集を組んで、「ああ、この人たちの頭の中を覗いてみたい−」と嘆いた。頭の中を覗かれた政治家たちの暴言の一部を同誌から紹介してみよう。

 「南京大虐殺はでっちあげ」(永野茂門法務大臣=94年・全国紙のインタビューで)

 「核とは『抑止力』なんですよ。強姦したらなんにも罰せられんのやったら、オレらみんな強姦魔になってるやん。けど核の抑止力があるからそうならない」(西村眞悟防衛政務次官=99年・週刊誌誌上で)

 「日本は天皇を中心とする神の国」(森喜朗首相=00年・都内で開かれた神道政治連盟国会議員懇談会の祝賀会で)

 「東京では不法入国した多くの三国人、外国人が凶悪な犯罪を繰り返している」(石原慎太郎都知事=00年・陸上自衛隊の記念式典で)

 「朝鮮の人たちが仕事がしにくかった。だから名字をくれといったのが(創氏改名の)そもそものはじまりだ」(麻生太郎自民党政調会長=03年・東京大学学園祭で)

 「集団レイプする人はまだ元気があるからいい。正常に近い」(太田誠一自民党議員=03年・鹿児島市の公開討論で)

 同誌はこれ以外にも柳沢厚生労働大臣の「産む機械」発言や伊吹文科相の「人権メタポリック症候群」発言なども紹介し、「ますます酷くなっていく政治家たちの暴言」に強い警鐘を鳴らしたのである。

偽造、忘却、無知

日本軍による性奴隷制を告発した絵画(レメディアス・フェリアス著「もうひとつのレイテ戦」より)

 そればかりではない。今話題の東国原宮崎県知事が15日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見した際の「従軍慰安婦」問題についての暴言もまた、許しがたい。

 「性的奴隷を慰安所に集めるに当たって強制があったかどうか別にして、朝鮮半島が双方合意のうえで″併された1910年から1945年当時は、売春は合法だったから、朝鮮半島から売春婦が日本に来て性的な商売をするのはなんら問題はなかった」(ジャパンタイムズ)と。

 この東国原暴言には、朝鮮併合、「従軍慰安婦」問題、強制連行など日本で跋扈するゆがんだ言説のすべてが収められている。歴史の偽造、忘却、それによる無知といった日本以外では全く通用しないわい曲された歴史観だ。

 数々の資料や被害者たちの証言によって日本軍「慰安婦」という性奴隷にされた女性たちの大半は、日本の植民地、占領地の10代の少女たちであり、その企画、立案、管理などを大日本帝国が行ったことは紛れもない歴史の真実である。殺され、病によって無念の死を遂げた被害者たちも多い。それは、無類の戦争犯罪、性犯罪であり、国際法違反である。

 加害者は処罰もされず、大手を振って生き延びて、被害者は差別され、惨苦の60余年を生きてきた。そして、勇気を持って、証言台に立ったとき、またしても罵声を浴びせられた。体と心に深い傷を受けた被害女性たちを再び侮辱する加害国日本の政治家たちの暴言の数々…。

 97年に死去した南の被害者・姜徳景ハルモニは、遺言として「責任者を処罰せよ」という題の絵を描き残した。被害女性たちの多くは高齢で、次々と死を迎えている。日本政府に謝罪と補償をさせて、ハルモニたちの無念は今こそ晴らされなければならない。(朴日粉記者)

[朝鮮新報 2007.3.26]