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「朝鮮名峰への旅」(25) 雪が太陽にとけ、ダイアモンドダストのように輝く

白頭山 冬

 3月に入ると、白頭山にようやく春の気配が感じられるようになり、厳しい寒さが訪れることも少なくなった。

厳冬期には冬将軍であるシベリアからの高気圧が広くおおっていた。強烈な偏西風が吹きつのり、日中でもマイナス20℃より気温が上昇しなかったが、やっと低気圧が朝鮮半島近くに移動してきた。シベリアからの高気圧も移動性高気圧となって、半島を横切る。

 いままでは冷え込んだ細かな雪が横殴りに吹き付けてきた。

 雪が木にまとわりつくなど考えられなかったが、3月の雪は深々と上から降る。少し湿気を含んだ雪は、樹林の幹にやさしくまとわりつき、枯れ草にほんわか雪の華を咲かせる。

白頭山 冬

 高気圧におおわれた一日、紺碧の空の下、無風の樹林帯に分け入る。スキーをつけていても、パウダースノーの雪はさらさらしていて、ひざまで埋まってしまう。林の中で立ち止まり、たたずむ。目の前に無音の世界が広がる。冬枯れの落葉松にびっしりと雪がまとわりつき、変化に富んだ雪の芸術作品が並んでいる。吸い込まれそうな青空を背景に、くっきり浮かび上がるおもしろいフォルムの数々は、見飽きることがない。

 重たげについていた雪が太陽の熱にとかされて、ばさっと落ちた。雪の塊が空中に飛び散り、ダイアモンドダストのようにキラキラと光り輝きながら、舞い落ちてくる。足元にはアザミのドライフラワーが、かわいい雪の綿帽子をかぶっている。

 無頭峰の丘から、白頭山へと向かった。樹林帯を抜けると、厳冬期そのままの白頭山が雄大な裾野を広げていた。(山岳カメラマン、岩橋崇至)

[朝鮮新報 2007.4.12]