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〈本の紹介〉 東京大空襲・朝鮮人罹災の記録PART2

東京大空襲・朝鮮人罹災を記録する会

 1945年3月10日の東京大空襲。約300機の米軍機が、1700トン余りの焼夷弾を投下し、10万人以上の死者が出たという。当時、東京には約9万7000人の同胞が居住していた。被災し、犠牲になった同胞も少なくはなかった。

 本書は、昨年刊行された「東京大空襲・朝鮮人罹災の記録」の続編である。あらたに12人(罹災当時20代2人、18歳以下の未成年者10人)の体験記録を収録した。

 北海道や九州の炭鉱と鉱山に代表される徴用、強制労働、そして広島、長崎での被爆に関しては、さまざまな形で実態調査が行われてきた。しかし、東京をはじめ各地の空襲での同胞体験者の惨状についてはほとんど知られていないのが実状である。

 本書では朝鮮半島出身者の記録が残らないいくつかの理由について、@多くの罹災者が朝鮮半島へ帰国、A単身が多かった、B教育を受けた人が少なく記録を残す術がなかった−などとまとめている。また、副題の「なぜ、そこに朝鮮人がいたのか」に対しては、日本の植民地政策による渡日、同胞の多くが軍需工場や施設に就労し、それらが米軍の爆撃の標的になったこと、地方に縁故がない同胞たちは疎開も困難で、疎開先から都市部に戻るケースも少なくなかったことなどが証言を元に記されている。

 62年の歳月が流れ、体験者の高齢化に伴い、罹災記録の収集も困難になってきている。「記録は2世の責任」と考える著者は、次編「PART3」への協力を呼びかけている。(金日宇、680円、TEL 050・3322・0688)

[朝鮮新報 2007.4.28]