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新しい道 −尹東柱−

 川をわたって森へ
 峠をこえて村へ

 昨日も今日も行く
 ぼくの道 新しい道

 たんぽぽが咲き かささぎが翔び
 少女が通り 風が立ち

 ぼくの道は いつも新しい道
 今日も… 明日も…

 川をわたって森へ
 峠をこえて村へ

 1938年5月10日
 「空と風と星と詩」(1991、未来社)

 ユン・ドンジュ(1917−1945)

 北間島(今の中国吉林省延辺地域)出身。1938年4月、ソウルの延禧専門学校(現在の延世大学)に入学。日本の統治下ではあったが、米国人宣教師が経営する同校では、まだ朝鮮語の授業が行われていた。詩人はいつも最前列に座り一生懸命勉強していたという。入学直後につくられたこの詩は、5月の風に舞う新緑のようである。その7年後、詩人は留学先の日本で独立運動に関与した容疑で逮捕され、福岡刑務所で獄死。享年28歳。その死については、福岡刑務所が九州大学医学部の生体実験と深く関わっており、「殺された」とする説が有力だ。(選訳、康明淑)

[朝鮮新報 2007.5.9]