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くらしの周辺−「ポルポル クリして」

 東京に引っ越して来て1年が経った。有機野菜の直産センターで働く私のオモニからは新鮮な野菜が、キムチ屋を営む義理のオモニからはたくさんのキムチやパンチャンが届く。その中に時々ミョンテが入っている。胡麻油で炒め、水を入れ「ポルポル クリ」して、塩、しょう油で味を調え、卵を落とす。そう、「ポルポル クリ(펄펄 끓이다)」とはグツグツ煮る、それも沸騰させながら、本当にグツグツと。

 結婚したての頃、妻にその意味を尋ねたことがあった。答えは、「ポルポル クリはポルポル クリやん」。妻が手抜き回答をした可能性を排除すれば、彼女の答えは正しい。日本学校出身の私と違い、朝鮮学校出身で民族性があふれんばかりの家庭に育った妻にとっては、いちいち頭の中でウリマルから日本語に変換して記憶しておく必要がないのである。

 同じように、キムチの下味の塩が多すぎる時などは「チャバする(짜다)」や、モヤシなどが傷んだ時は「シーする(시다)」など、よく聞くと、実にさまざまな種類がある。「在日ウリマル」と言われればそうかもしれないし、語学力のせいかもしれないが、私にとってはすごく愛着がわく「ウリマル」であり、ある意味、会話を100%近くウリマルで話すより「民族」を感じてしまう。

 さて、本日も楽しみの夕食の時間。「食膳漬物」ではないが、私は義母特製の「ひのなのキムチ」を、妻は私のオモニ特製の「らっきょ」をボリボリと食べる。ニュースからはあいも変わらず「美しい国」の「チヂョベー(저저분하다)する」姿が伝わる。頭がポルポルだ!(金範重、法人職員)

[朝鮮新報 2007.5.12]