〈朝鮮と日本の詩人-29-〉 結城哀草果(ゆうきあいそうか) |
世界平和の為六十年前昇りし太陽常若く今朝も輝く金日成首相 金日成首相の還暦よろこぶ歌合唱が世界の山河大きくゆすぶる 還暦の首相の額なごましく民族愛に蔭一つなし 民族愛日本に及び朝鮮大学の明るき設備見るたび嬉し 隣国の日本に生きる哀草果国境越えて還暦祝ふ 日本の標高高き人間は首相の還暦交々祝う 生涯に一度まみえて首相の人間電波まともに受けたき 金日成首相産声挙げて六十年国に日は満ち民繁栄す 金日成主席が還暦を迎えた年に「万壽無彊」という文集が出版された。 その文集に収められた15人の短歌のうち結城哀草果のもの9首を選んだ。平昜な口語体の歌なので理解するに難くないであろう。 いずれの作品も短歌的抒情を、主席への賛歌として飾り気なく流出させている。 哀草果は山形県に生まれて斉藤茂吉に師事した短歌誌「あららぎ」の重要作家であり、農村の生活と風景をうたった第一級の農民歌人として他の追従を許さない泰斗であった。厳しい農耕に従事した彼の歌風は素朴至純で、しかもその調べは平明そのもので破綻というものが見られない。 第1歌集「山麓」(1929年)をはじめ「すだま」「群峰」「まほら」他数冊を上梓した。大岡信の「折々のうた」(朝日新聞07年2月14日)に歌一首がとりあげられた。(卞宰洙、文芸評論家) [朝鮮新報 2007.5.17] |