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ドキュメンタリー映画「ウリハッキョ」 世界各地で感動の嵐

「人間賛歌、統一への高い志」

映画「ウリハッキョ」のポスター

 札幌市の北海道朝鮮初中高級学校(申京和校長、125人)を舞台にしたドキュメンタリー映画が南はじめ世界各地で旋風を巻き起こしている。異国の地で民族の心を守ろうとする子どもたちの姿が感動を呼び、興行成績は南のドキュメンタリー映画の記録を更新して5万人を突破した。自主上映も100回を超え、日本、米国、カナダ、オーストラリアなどでも上映の輪が広がっている。

 映画は「ウリハッキョ」(わが校)。金明俊監督が05年まで3年間、同校の寄宿舎に住み込み、同年春卒業の高3クラスを中心に撮影、約2時間20分のドキュメンタリーにまとめた。

 「民族」を守るために朝鮮語を学び、チマ・チョゴリを着る女生徒たち、親元を離れて寄宿舎で暮らす幼い子どもたちをある時は親のように、またある時は友だちのように見守る教師たち。ウリハッキョを舞台にした日常の悲喜こもごもが、観客の目を釘付けにする。スクリーンには、民族を守り続けてきた在日同胞すべての思いがあふれて、まぶたをぬらす感動作となった。

 また、朝鮮学校の創立以来60余年間、助成どころか、ことあるごとに差別と弾圧を加えてきた日本当局の醜悪な姿も浮き彫りになる。

千葉での上映会は3回、223人が詰めかけた(5月19日、千葉・花園公民館で)

 とりわけ拉致、核、ミサイル問題以降、日本当局の制裁措置によって「万景峰92」号の日本入港が禁止されたが、映画には制裁措置発動前、「万景峰92」号に乗船して、楽しく修学旅行を体験した同校生徒たちの貴重な姿が映し出される。生徒たちは、元山下船の際、上陸の第一歩を足ではなく、そっと手で刻んだ。跪いて、祖国の大地を愛でるように。「なぜ、足でなく、手なのか」との質問に、「手の方が、祖国に敬意を表せると思って」とはにかむある生徒。何にも代えがたい祖国を思う純真な心、人としての品性がそうさせたのだろう、胸を打つ場面である。

 日本当局が在日同胞と祖国との間にどんなに醜悪な盾を築こうが、子どもたちは怯まず、楽々と力強くその壁を超えていく。映像はその真実を子どもたちのウソのない日常の生活と言葉によって雄弁に語り尽くす。

 さらに、学校を変わりなく支援する市民の存在をクローズアップし、ひんぱんに起きる学校への嫌がらせについても淡々と映していく。

 日本の政治権力と反動による総連弾圧の嵐の中で、人間としてたくましく成長していく子どもたちのはつらつとした姿が印象的。

 最後の卒業式のシーンでは先生が卒業生たちに、「ウリハッキョは、君たちの永遠の母校です。悩んだ時はいつでも帰ってきなさい」と呼びかける。人生の大海原に漕ぎ出す子どもたちへのはなむけの言葉。終わっても余韻がずっと残る圧巻の場面である。

 金監督はこの映画を撮り終えて、「ウリハッキョには、みなが忘れてしまった教育の根本がある。教育とはより良き人、善なる人を育てるもの。人間賛歌、民族統一への高い志が息づくウリハッキョのすばらしさをぜひ観てもらいたい」と語った。

 2006年釜山国際映画祭ウンパ賞(最優秀韓国ドキュメンタリー賞)受賞。(朴日粉記者)

[朝鮮新報 2007.6.1]