カンヌで「ある女学生の日記」上映 朝鮮映画は初 |
「構成やキャラクター設定が奥深い」 新作も続々と制作 朝鮮の映画界が新境地を開拓している。 「退屈を覚えない」
昨年、朝鮮国内で公開され大きな反響を呼んだ映画「ある女学生の日記」(訳題−The Schoolgirl's Diary )が、フランスのカンヌ国際映画祭(5月16〜27日)で上映された。同映画祭で朝鮮映画が上映されるのはこれが初めて。 中国の報道によると、映画は素朴で虚偽がなく、人物の内面世界をよく反映していると評価されたという。 映画は、ある科学者の家庭を舞台に主人公の少女が家族の問題や友人関係で悩みながら精神的な成長を遂げていくという筋書き。 昨年9月、平壌国際映画祭でフランスの配給会社プリティー・ピクチャーズが映画の版権を獲得し、今年のカンヌ映画祭で上映されることになった。 南朝鮮の「オーマイニュース」は、「主人公の女子学生の演技がとても上手で、科学者の父を演じた人民俳優のキム・チョルと彼女の愛憎がリアルに描かれている」「成長期に娘と家を捨てたような父との対立・葛藤を骨格とし、そこにお母さん、妹、おばあさんなどが絡み合っていくという巧妙なストーリー編成もまた特徴的」「登場人物それぞれのキャラクターがうまく確立されており、退屈を覚えずに観ることができる」と同映画を評価している。また、カンヌでも、映画ジャーナリストが「おもしろい。構成やキャラクター設定が奥深い」とするなど好評であったと報じた。 次のヒット作を
昨年、「ある女学生の日記」と「平壌ナルパラム(刃風)」を創作した朝鮮映画文学創作社の作家たちが新たなヒット作の制作に取り組んでいる。 現在、多様なテーマの映画シナリオが相次いで創作されており、同社で創作されたシナリオ中、「幸福の車輪」「ひとつの麓」「あの空の縁」「チョンジン新婦」などが現在映画制作されている。 「幸福の車輪」は、大学を卒業し家庭に埋もれていたある女性が周囲に支えられて立派な技術者へと成長する内容だ。 「あの空の縁」は、数十人の孤児を育てた女性英雄を題材とした。 このほか、同社では「彼らが再び会ったとき」「父と3人娘の気持ち」を創作した。また現在、医療陣の真の姿を描いた「救急医師」、崩落した切り場の中で発破穴をあける炭坑夫たちを描写した「選択」などが創作中だという。 新人俳優を抜擢
最近、朝鮮映画の配役に変化が起きている。映画の主役に新人俳優が抜擢されていることだ。 以前は、主役のほとんどをベテラン俳優たちが独占し、新人俳優は脇役。初めてもらった役がわずか1、2シーンのエキストラだった俳優も少なくない。一定の年数を経てこそ演技に味が出ること、そして映画はベテラン俳優が出演してこそ品位ある作品となり、観客の人気も集まるというのがこれまでの朝鮮映画のセオリーだった。 このような映画界の固定観念が、昨年制作された映画「ある女学生の日記」と「平壌ナルパラム」の成功を機に払拭された。これらの映画には新人俳優たちが主役で出演した。観客からは、「映画の人物表現において、以前はなかった新鮮さを感じた」との反響が多かった。 現在、国内の映画創作家は新人俳優の中から役のイメージに合う人物を抜擢するのに大きな関心を示している。現在、新人俳優を主役に起用した映画数編が制作されているという。【平壌支局】 [朝鮮新報 2007.6.15] |