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大阪市立東洋陶磁美術館で「特別展」 輝く翡翠(ひすい) 世界に類ない美意識

高麗青磁、朝鮮白磁など200点展示

 大阪市北区の中之島にある大阪市立東洋陶磁美術館で、今、開館25周年を記念して「安宅英一の眼」と題する特別展が開催されている(4月7日〜9月30日)。

 安宅コレクションは、その母体である安宅産業が事実上の崩壊に追い込まれ、住友グループ21社によって、コレクションが大阪市に寄贈され、散逸を免れた。82年11月、大阪市が、それらを収蔵、展示するために東洋陶磁美術館を設立した。主に朝鮮陶磁793件、そのほとんどが高麗(304件)、朝鮮時代(485件)の陶磁である。10〜19世紀にいたる間に、朝鮮半島で焼造された主要な陶芸が網羅されている。中国陶磁は144件。数のうえからも安宅コレクションの高麗、朝鮮の陶磁は、私的なコレクションとしては世界第一といわれているゆえんである。

 今回、展示されているのは、2点の国宝と12点の重要文化財としてのみならず、初公開作品、関連作品など200点を紹介しながら、かつてない規模と内容によってコレクション全貌が明らかになっている。

 時代を超えてなお、人々の心を離さない高麗、朝鮮陶磁の美の真髄を堪能できる好機であろう。

 高麗時代の陶芸が最高潮に達するのは、12世紀。民族的な美意識が現われた各種の器が焼造され、中国ではわずかしか試みられなかった象嵌青磁が創始され、独特な作風が展開するようになった。

 高麗青磁の輝く翡翠色はつとに有名だが、多彩な技法によってさまざまなものが造られた。鉄絵具で文様を描くもの(鉄絵)、白泥で描くもの(白泥彩)、酸化銅の彩料を点じるもの(辰砂)、青磁の釉下に鉄料をひくもの(鉄地)、3種類の土を練り上げるもの(連上)。さらに素文、彫刻、透彫、彫刻などのほか独自の装飾技法、さらに世界的にも稀有な高麗白磁も名高い。高麗青磁は蒙古軍の侵略によって徐々に衰退し、朝鮮朝の粉青沙器に継承されていく。

 朝鮮前期を代表する陶磁は、粉青沙器である。高麗時代に完成した象嵌青磁の技法を基調に、より強く民族的時代的特色が著しく表れた陶芸であったといえる。林屋晴三・菊池寛美記念、智美術館館長は朝鮮時代の陶磁について次のように絶賛する。

 「中国陶磁の影響からまったく離脱して、朝鮮民族ならではの生活感情が素朴に表れた造形であって、それらは世界のどこにもない独特の美意識が表出している。多くの作調は精緻ではなくむしろ奔放に過ぎると言えるが、器形はそれぞれにそれなりの確かさがあり決して未熟ではない。そしてそれが時代感覚というものであろうか、文様の表現にこだわりのないのびやかさと飄逸が窺われるのである」(「安宅英一の眼」より)

 東洋陶磁美術館は、自然採光を取り入れ、世界最高水準の朝鮮陶磁を観賞するには最適の美術館である。しかし、その美のすばらしさは写真だけで見ても、伝わりにくいであろう。ぜひ、美術館に足を運んでほしいものである。(朴日粉記者)

※東洋陶磁美術館
 開館 午前9時30分〜午後5時、毎週金曜日は午後7時まで(入館は閉館の30分前)、 休館日は月曜日(祝日は除く)
 観覧料 一般800(650)円、高大生500(350)円、()内は特別鑑賞券・団体(20人以上)。
 地下鉄御堂筋線淀屋橋駅、堺筋線北浜駅または京阪電車北浜駅より徒歩5分
 TEL 06・6223・0055、http://www.moco.or.jp

[朝鮮新報 2007.6.15]