文芸同東京支部舞踊部 「第7回民族舞踊の夕べ」 |
先覚者たちが歩んだ「道」 若い世代が受け継いで
第7回民族舞踊の夕べ「道」(主催=在日本朝鮮文学芸術家同盟・東京支部舞踊部)が20日、東京都荒川区のサンパール荒川で開かれた。今回の公演には、先覚者たちが民族の心と踊りを築き、守りながら歩んできた「道」を、日本で生まれ育った3、4世たちが引き続き受け継いでいくという熱い思いが込められた。同胞や日本の市民ら550余人が観覧した。 同部は毎週1〜2回、青年組と成人組に分かれて舞踊の基礎などを中心に練習を行っている。メンバーの顔ぶれは、文芸同舞踊部による舞踊コンクールの2位受賞者、朝鮮で本格的に指導を受けた人、学生時代に舞踊を楽しんだ人、ほぼ初心者−などさまざま。共通するのは、「舞踊が大好き」という純粋な気持ちだ。 民族性あふれる舞台
2部構成の公演では、80年代に朝鮮で創られた群舞「変わらぬ想い…」や結婚を控えた男性たちが童心に帰って遊ぶ様子を描いた重舞「草笠童」、祖国解放を迎えた幸福が今日も明日も続くように願う在日同胞たちの想いを描いた独舞「歳月」−などをはじめ群舞、3人舞と文芸同神奈川、西東京支部舞踊部の友情出演を含めた14作品が披露された。 最後は今回のテーマ「道」を表現した全部員によるフィナーレで幕を閉じた。観客らは華麗な舞台に終始魅せられ、大きな拍手と声援を送った。 仕事、家事の両立で
同公演は3年に一度、定期的に行われてきた。本公演に向けて1年前に構成が決まり、昨年の11月頃から練習を始めた。 メンバーはみな仕事や家事、育児などを抱え多忙な日常を送っている。 そんな中、成人組は昼に、青年組は夕方に集まり、それぞれ週2回の練習を行ってきた。 成人組のメンバーの中には、幼い子ども連れで練習に参加したり、終了とともに幼稚園の行事に慌てて駆けつけたりする姿も見られたという。また、青年組は仕事や学校帰りの練習が続き、上演が近づくにつれ、終了時刻が夜10時を回ることもしばしば。みな、休日返上も辞さずに励んだ。
プロの舞踊手ではない。 しかし、弱音を吐くことなく、みなが懸命に取り組んだ。成人組の朴慶和さん(31)は「ここは舞踊が好きという同じ思いを持った人たち、そして子どもを持った同じ境遇のオモニたちと一緒に踊れるとても貴重な場」だと言う。 メンバーらは、舞台の構成はもちろん、財政面などをすべて自分たちの手でまかなった。 青年組責任者の李玲華さん(31)は本公演のために重舞「草笠童」を創作。指導するかたわら、後方の作業にも携わった。「今までは一生懸命踊るだけだったが、裏方で支える人たちがいて初めて舞台が輝くんだということを実感した」と準備過程を振り返った。 部長の金善恵さん(34)は、「伝統を守っていこう、そして民族舞踊を踊りたいというメンバーたちの思いを尊重して公演の準備を進めてきた。時間のやりくりや財政など難しい面もあったが、みんなががんばってくれたので成し遂げられた。みなの心に同胞社会を守っていくという気迫がないとできないことだと思う」としみじみ語った。 また、公演に同胞をはじめ日本の市民や外国人も足を運んでくれたことを喜び、「芸術は、政治では乗り越えられない壁を乗り越えられる」と力強く語った。 同胞社会の宝、誇り
客席からはさまざまな声が寄せられた。 「大変な時期にもかかわらず若い世代のがんばる姿を見て力がわいたし、自分がもっとがんばらなくてはならないと励まされた」(文芸同中央・任秀香舞踊部長) 「衣装がとてもかわいかった。久しぶりに民族舞踊を見て心が躍った。フィナーレでは『ハナ』のBGMにつられて思わず歌を一緒に歌ってしまった」(神奈川県居住・呉聖美さん) 「出演者の大半が私の教え子。家庭を持ち、仕事をしながら、ましてや困難な情勢の中でこのような公演を開くのには、多大なエネルギーが必要。決して簡単なことではない。とてもありがたく、すばらしいことだと思う。これからも舞踊を愛し活動を続けていってほしい」(朝鮮大学校・朴貞順副教授) また、感想文の中には「民族教育があり、舞踊を愛した先覚者たちがいてこのような舞台が広げられたと思う。出演者たちが心の底から笑みを浮かべ喜びに満ち溢れ舞う姿がとても印象的だった。今日の舞踊手たちは同胞社会の宝であり誇りであり、喜びと希望である!」と書かれたものもあった。(文=姜裕香記者、写真=文光善記者) [朝鮮新報 2007.7.27] |