〈本の紹介〉 まんが「慰安婦」レポート@ 「私は告発する」 |
歴史の真実は封印できない ソウルの光化門近くにある日本大使館前では、いまも毎週水曜日の正午に定期デモが行われている。ここには10数人の日本軍性奴隷被害ハルモニたち、同じ思いの女性団体の会員たち、学生、市民、そして日本人はじめとする外国人もしばしば参加する。 この水曜デモが始まったのは1992年1月8日。すでに15年間続いている。 この間に97人の被害女性たちが他界し、韓国政府が被害女性として認定した215人のうち生存しているのは、118人だけである。 本書の朝鮮語版は2年前、ソウルで刊行されたもの。13年間も日本大使館前で声を張り上げ、日本政府に謝罪と補償を求め、尊厳の回復を求めて力強く闘ってきたハルモニたちの物語である。 著者の漫画家、チョン・ギョンアさんはデビュー作で「韓国出版漫画大賞」を受賞した実力派作家。 本書の出版と同時に新聞各紙、ネットにでも取り上げられ、センセーションを巻き起こした。 「慰安婦」問題をわかりやすく描いたという評価だけでなく、ノンフィクション漫画としての作品性においても高い評価を受けている。 本書は3部作の第1巻。 現在、米下院本会議で対日謝罪要求決議案が審議されているが、その公聴会で証言し、注目を集めたジャン・ラフ=オハーンさんの話から始まる。 そして、いかにして日本軍が慰安所を設置、管理し、どのような目的で「慰安婦」を動員したかがわかりやすく描かれている。 なお、第2巻は朝鮮語、日本語版ともに年内に刊行予定。 いまも日本では、政府を先頭にジャーナリスト、学者、経営者など社会の隅々に至るまで、過去を正当化し、自ら侵した加害について否認し続けている。 その残忍な日本帝国主義の侵略の最も悲惨な被害者である被害女性たちの命は、時間的にギリギリのところまできている。彼女たちが悪夢から解放され、過去の苦痛から完全に抜け出す道は、日本政府に法的責任を認めさせることだけである。 今を生きる若者たちは、この漫画に描かれた歴史の真実を悟り、それを受け止め、記憶し、次の世代に伝えていくべきであろう。 この夏の、とりわけ、若い世代必読の書である。(チョン・ギョンア 著、山下英愛 訳、明石書店、1333円+税、TEL 03・5818・1171)(朴日粉記者) [朝鮮新報 2007.7.27] |