文芸同東京支部書芸部「第11回作品展」 14人による書芸作品41点展示 |
「とてもおもしろく、刺激的」
東京・池袋の東京芸術劇場地下展示室で7月21、22の両日、在日本朝鮮文学芸術家同盟東京支部書芸部「第11回作品展」が開かれ、約270人が会場を訪れた。作品展には、同東京書芸部員14人による書芸作品41点と、平壌学生少年宮殿書芸講師のオ・ウンスクさん、高麗大学講師のハン・メンシク、カン・キョンエさんの作品が展示された。同書芸部では、朝鮮語で作品を手がけることを主な活動方針としており、毎月1回の集まりでは、書についての勉強会ほか、在日同胞を取りまく「情勢学習」なども行っている。 出品者の願い
11回展のメインは、出品者全員による合作「伝えたい大切な言葉」。東京書芸部・金舜姫部長は、「この小さな掛け軸や、額縁に飾られたハガキには、出品者それぞれの想いが込められている。想いを伝えたい相手は、同胞だったり、日本人だったり、世界の人々だったり、家族、友人、恋人だったり。テーマをあえて1つに絞らなかったのは、それぞれの想いから、現在、私たち在日同胞が置かれている状況や望んでいることを観る人にダイレクトに感じとってほしかったから」と話した。 ハガキには、「われらの願いは統一」「鉄の意志」「幸せになろう」「アンニョンハセヨからはじめよう」「心」「感謝」「世界一幸せな夫婦になってね」などの想いがしたためられた。 会場にはそのほかにも、「温故知新」(姜民子)、「団結は勝利なり」(姜仙曾)、「春の詩」(高定淳)、「慶尚(故郷の名称)」(朴福実)、「シンパラム」(康貞奈)、「詩調 代々継ぎつがれた祖国の山河をいつも忘れずに歌おう」(金英淑)などの作品が展示された。 康貞奈さんは「シンパラム」という作品に、間近に迫っている祖国統一ヘの期待を込めたと話す。「先日、朝鮮の独立運動家・夢陽呂運亨先生60周忌講演会に参加して、朝鮮半島情勢について、評論家の鄭敬謨氏の講演を聞いた。そこで聞いた『シンパラム』という言葉。パラムは風という意味。人はこの風の気流に乗れば、おのずから口の動きが歌となり、足の運びが踊りになるという。シンパラムは抑圧から放たれ、自由を取り戻し、人が人を疑う必要がなくなった社会に住む人間の心の中に吹く不思議な風であるとの話を聞いて、朝米関係と6者会談の展望に胸踊り、その晩、一気にこの作品を書いた」という。 熱意伝わる作品
会期中、会場にはたくさんの書芸愛好家と同胞、日本の市民たちが訪れた。 東京トラジ会代表の金日権さんは、平壌学生少年宮殿書芸講師のオ・ウンスクさんが力強い筆致で書いた「白虎」の前で立ち止まった。「書も絵のように見れば誰もが観賞できる。白と黒のコントラスト、絵画的な美しさが、この文字が持つ力である。見た瞬間にエネルギーが感じられた。このようなハングルの展示会を通して、在日は北南、朝・日の架け橋になれればいい。音楽家は音楽、舞踊家は舞踊、書芸家は書芸を通じて」と語った。 東京・板橋支部坂上分会・尹玉姫分会長と洪玉仙副分会長は、「3年前から分会で書芸教室を開いている。講師は師範資格をもつ康貞奈さん。目標は、細く長く。いつかは自分でも納得できる作品を書けたらいいと思っている」などと話していた。 また、会場に置かれたノートにもたくさんの感想が寄せられた。以下、内容の一部を紹介する。 「韓国の方の書並びに絵をはじめて拝見しました。無学なため解読することができずに残念です。しかし、平和を大切に、命を大切に思う心はどなたにも負けないと信じています。38度線まで行き北朝鮮を見ました。同じ民族がはやく一つになれるよう祈っております。物言わない柿が何を見、何を思ったか。戦争中、私の家の柿の木に焼夷弾が落ちました。今は大きくなった柿の木を見上げては、二度と戦争をしてはならないと誓っています」 「パソコンを使ってタイピングをする機会が多くなり、無機質な文字を見ることが圧倒的に多くなった今日、魅力あふれる文字を書けるということがとてもうらやましいです。やっぱり、朝鮮の文字はいいですね!」 「ハングルの書道をはじめて拝見しました。大変楽しかったです。日本と同じ故事成語があり、親しみを覚えました。私どもも般若心経を書きますが、ハングルと2行書きするのははじめて見ました。私どももみなさまのように楽しみながら書道を続けたいと思います」 「言葉の意味は存じ上げませんでしたが、1点1点から作者の気持ちが伝わってくる気がしてすごく楽しめました。墨の色を変えて書いているものや、線の最後を伸ばしてその上にまた字を書いているものなど、凝っているものも多くて自分もやってみたいと思いました。いろんな刺激を受けられてよかったです」 「1字1字から書いた方たちの熱意が伝わってきて、とてもおもしろい展示会でした。『ものづくり』の感覚が失われて行く現代社会の中で、自分の手で何かを感じて書く、描くという行為はとても尊いものだと思います。また作品ごとに個性があり、書道という分野の奥深さも感じることができました。これからもいい展示会を開いていってください」(金潤順記者) [朝鮮新報 2007.7.30] |