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戦争被害に遭う子どもたちの側で

朗読劇「千鳥ケ淵へ行きましたか」は大きな反響を呼んだ(04年9月3日、都内)

 詩人の石川逸子さんは、日本軍性奴隷制被害女性たちの想像を絶する苦難の数々や、いつも戦争で酷い目に遭う子どもたちの姿を描いてきた。

 とりわけ、劇団民藝が04年まで10年の歳月をかけて日本各地42カ所で上演してきたドラマティック・リーディングうぃずケーナ「千鳥ヶ淵へ行きましたか」(演出=渾大防一枝さん)は、大きな反響を呼び、作家にとっても喜びとなった。

 「この作品を書き上げたのは、23年前の暑い夏でした。千鳥ヶ淵で、ふつふつと聞こえてきた死者たちの声を、ほんの少しでもすくいあげたくて」

 そして、彼らに重なり、彼らを圧するかのようなアジア、太平洋地域の死者たちの怨嗟と慟哭の声。

 「被害者たちは殺されたり、病によって無念の死を遂げた人も多い。それは無類の戦争犯罪、性犯罪であり、国際法にも違反している」

 しかし、日本では、すごいテンポで、アジアへの戦争の地ならしを国が行っていると嘆く石川さん。

 憲法9条を変えて日本を「美しい国」にしたいと公言する政治家が首相の座に着き、「慰安婦」や「強制連行」を否認する閣僚らは後を絶たない。

 21世紀に入って、戦争の時代は終わるどころか、ますます牙をむきだしにしている。石川さんは「どうやら安倍首相の説く『美しい国』とは、米国の利益に追随して『戦争のできる国』にすること、弱肉強食の格差社会にしていくことが目的のようです」と厳しく批判する。

 「戦争なんてとんでもない」と平和を求める各国女性たちのネットワークも広がっている。若い人たちから寄せられるたくさんの手紙が石川さんの背を押し続けている。

 「従軍慰安婦にされた少女たち」(岩波ジュニア新書)、「千鳥ヶ淵へ行きましたか」(花神社)などの著書も多い。(粉)

[朝鮮新報 2007.8.4]