top_rogo.gif (16396 bytes)

朝大美術科研究院生と学部生ら3人 グループ展「fluid」開催

若者の想いを作品に

金恵美作「笑う豚」(左)、金侑龍作「刹那滅」(右)、「nostaigic」(中央)

 埼玉県川口市のmasuii R.D.R galleryで7月30日から5日まで、グループ展「fluid」が開かれた。参加アーティストは、朝鮮大学校美術科研究院2年生の金侑龍さん(22)と1年生の金恵美さん(20)、同大美術科2年生の姜勇哲さん(19)の3人。朝大美術科研究院生と学部生との異年齢展示、朝大美術科展示室以外での展示はともに初めてのことだという。

 「fluid」とは流動体という意味で、気体と液体の総称。3人のアーティストたちは、流れ動き、移り動き、移り変わる現代の若者の思いをそれぞれの作品に込めた。

姜勇哲作「繭」

 金侑龍さんの作品「刹那滅」は、壁に立てかけられた5枚の木の板の上部にそれぞれレンガが取りつけられ、足元の床にも5つのレンガが同じように並べられている。上の白いレンガにたらされた墨汁は板をつたって下に流れる。それを受けとめるような形で床のレンガのほぼ中央に、一滴の墨汁が点を描いている。

 「物事には始まりがあって終わりがある。しかし、終わりがあってもまたすぐに始まるものもある。そうして世界は限りなく続いている。例えば生と死、国の興亡の歴史などがそう。とどまることを知らないそのような流れを、一瞬、留めておきたいと思い、作品を作った。下に置かれたレンガの点が『終わり』を示している。次の上から滴る墨汁で動きを表した。本来、このような板とレンガを円状に並べ、永遠に続くさまを表してみたかったが、会場の都合上一部のみを展示した」(金侑龍さん)

右から金侑龍さん、姜勇哲さん、金恵美さん

 金恵美さんの作品は「笑う豚」。3枚の豚の絵は、大笑いしているもの、ニヤリと口元だけ笑っているもの、「へッ」と笑い飛ばした表情のものの3点だ。恵美さんは、「豚が好きで研究院生たちと養豚場に豚を見に行った。豚は食べられるために育てられている。それが妙に『女性的』だと思えて描きたかった」と話した。豚の笑いには、「自嘲」も込められているという。

 姜勇哲さんの作品は白と黒の糸を巻いて表現した「繭」。「大人は嫌いだけど、子どもにもなりたくない。いままで先生には反抗してばかりだった。今年で20歳になるので、これまでの自分の殻を脱ぎ捨てようと制作にあたった」。作品は、両極端な2色の糸を使って、大人と子ども、朝鮮と日本、マジョリティとマイノリティといったいろんなしがらみから解き放たれ、一人の自立した成人になりたいと願う姜さんの想いを表現した。

 初の朝大の外での展示会だけに、会場選びや経費の捻出にも苦労した。しかし、「外部の厳しい目にさらされること」は、とても良い刺激になったと口をそろえる。3人は、今後も創作活動に情熱を傾けたいと語った。(金潤順記者)

[朝鮮新報 2007.8.6]