〈朝鮮と日本の詩人-34-〉 小野有香 |
朝鮮を威圧する日本は「血の子」 友よ 仁義とは何の意ぞや、 右の詩は、全46行4連の「ああ、韓国」の第一連の全文である。この4連の詩は「血の子」と「涙の子」と題する対(つい)をもって構成されている。「血の子」は日本を「涙の子」は朝鮮を表している。擬古文調なので、大意を記してみる。 友よ、仁義とは何であろうか。神を崇い友を愛するという意味であったのは昔のことだ。よく聞け、今の時代の仁義の意味するところは美しいものではない。隣国(朝鮮)を奪いとるために、まず自分の国(日本)の国旗と銃剣をふりかざす。その隣国の危機を救うという口実で、勝手に国境を越えて(朝鮮に上陸して)第三国(清国)と戦い、清国から守ってやったと朝鮮に恩をうりつけ、その義理をもって縛りつけると、その縄を握って、機会をねらいたちどころに朝鮮を威圧して侵略する。まさに、これこそが、今日の仁義なのである。 朝鮮侵略の道すじを正確に叙述し、日本帝国主義の本質を「仁義」にもとるとして糾弾している。小野有香は早大の経済学部を卒業後「平民新聞」「新世紀」誌などに詩を発表した初期の社会主義詩人のひとりであった。 しかし、暗い現実に抗し切れず、後年には宗教団体「生長の家」の信仰に入った。(卞宰洙、文芸評論家) [朝鮮新報 2007.8.18] |