top_rogo.gif (16396 bytes)

朝・日大学生 「アリラン」観覧 「統一への強い意志感じた」

「孤立する北朝鮮」像払しょく、公演の規模に圧倒

 【平壌発=文・姜イルク、写真・盧琴順記者】8月に平壌を訪問した在日本朝鮮留学生同盟(留学同)代表団と「日朝友好学生の会」代表団が20日、大マスゲームと芸術公演「アリラン」を観覧した。平壌ホテルに戻ってきた在日同胞と日本の大学生らは興奮さめやらぬ様子で、それぞれ公演の話でもち切りだった。朝・日の大学生は公演を通じて何を思ったのか。

出演者と握手

公演を観覧する留学同代表団

 留学同活動家代表団(16人)は8月11〜29日までの予定で、「日朝友好学生の会」代表団(10人)は8月18〜22日まで、それぞれ夏休みを利用して朝鮮を訪問した。その多くは、「アリラン」観覧が初めてで、うわさで聞いたり部分的に映像でしか見たことがなかったという。

 8月中旬に朝鮮のほぼ全域に大雨が降り、大きな被害が確認された。学生らは公演観覧を楽しみにしていたが、昨年のように今年も公演が中止されることを心配した。北南首脳会談延期の報道がいっそう不安を募らせた。一方、8月15日に「アリラン」がギネスブックの世界記録に登録されたこともあり、公演に対する関心と期待はさらに高まっていた。

 このような中で実際に公演を観覧することになった一行は、公演開始時刻約30分前の8時にメーデースタジアムに到着した。スタジアムとその周辺には、出演者と観客を合わせて10万人をゆうに超す人びとが集まっていた。

 留学同岡山支部の黄英世さん(20、岡山大学2回生)は、スタジアムに到着したときから人の多さに驚き、圧倒されたという。「国内の観客の中には地方からの人も多く含まれていて、特別な人だけが見るのではないとわかった。外国人もたくさんいた。スタジアムとその周辺は鮮やかにライトアップされ、とてもきれいだった。『アリラン』はただの公演ではなく、ひとつの祭りだと思った」。

 実際に公演を見て感激し、興奮したという黄さんは公演終了後、家路につく出演者らと遭遇し、記念に握手を求めていた。「出演者の表情からは、達成感と充実感、誇りが感じ取れた」という。

「印象と全く違う」

公演を観覧する海外同胞と外国人ら

 朝・日の学生らが一様に話していたことは、外国人や海外同胞の観客の多さに驚いたということだ。「孤立する北朝鮮」という印象は、いっぺんに払拭されたという。

 日本メディアの報道によって、知らず知らずのうちに形成された朝鮮に対する印象と実際に目にした現実との間には、大きな違いがあることを学生らはひしひしと実感している様子だった。

 留学同の学生らは、ホテル到着後に「感想発表会」を開いた。「『アリラン』は他の国では絶対にまねできない」「出演者は強制的に動員されている表情ではなかった」「祖国のために、というやりがいを感じている」などとさまざまな感想を述べていた。

 一方、在日同胞学生らとの交流を深めてきた龍谷大学大学院経済学研究科修士課程2回生の山根実紀さん(24)は、訪朝の目的について、「とくに朝・日関係が複雑な時期だからこそ、とにかく実際に朝鮮に行ってたくさんのことを自分の目で見聞したかった」と話す。

 「朝鮮の人びとの団結力、活力を感じた」という山根さんは、公演最終章で登場した巨大地球儀の上の朝鮮半島に赤いスポットライトが当てられたのを見て、一瞬「わくわくした」という。彼女らが座った位置からは、日本列島と朝鮮半島の両方にライトが当てられたように見え、日朝友好のメッセージのようにも感じられた。「でも今の両国関係からして、そんなはずがありませんね」と、現実の厳しさをかみしめていた。

印象深い「統一章」

「アリラン」終章の場面

 83分の公演の中で観客席が一番盛り上がったのは、朝鮮統一を描いた場面だった。毎回この場面では約5万人の観客席からいっせいに手拍子が沸き、出演者と一体になる。

 朝・日の学生らは「アリラン」公演でこの場面が一番印象深かったと口をそろえていた。

 立命館大学国際関係学部4回生の原民樹さん(21)は、「朝鮮人民の統一への強い意志を感じ取れた。すごく印象に残っている。朝鮮半島の統一とその後を含め、日本がどう関わるべきなのかをあらためて考えさせられた」と感想を述べた。

 留学同大阪の鄭綾華さん(20、近畿大学3回生)も、「統一への願いは、在日同胞も朝鮮の人民もともに切実だということが確認できた。今回の経験を忘れずに、今後も留学同の活動に励んでいきたい」「機会があればまた公演を見たい」と話していた。

[朝鮮新報 2007.8.31]